タイトル | ニラの両性生殖性二倍体遺伝資源 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 野菜茶業研究所 |
研究期間 | 1998~2003 |
研究担当者 |
若生忠幸 小原隆由 小島昭夫 生井潔(栃木農試) 中澤佳子(栃木農試) 島崎 聡 |
発行年度 | 2003 |
要約 | モンゴルで収集されたニラ遺伝資源‘94Mo13’、‘94Mo49’、および‘94Mo50’は二倍体であり、かつ両性生殖性である。通常は高いアポミクシス性を示すニラの交雑育種の素材として、これらの系統は有用である。 |
キーワード | ニラ、両性生殖性、アポミクシス性、二倍体、遺伝資源 |
背景・ねらい | ニラはほとんどの栽培品種および遺伝資源が四倍体(2n=32)であり、かつ高度のアポミクシス性を示すため、交雑育種が困難である。そこで、新たに収集されたニラ遺伝資源のなかから両性生殖性二倍体を発見する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 1994年に芦沢と野村によりモンゴルで収集されたニラ遺伝資源18系統のうち、‘94Mo13’、‘94Mo49’、および‘94Mo50’は二倍体(2n=16)である(図1)。 2. 上記3系統は、複相大胞子形成率(非減数性胚嚢の頻度)が0%であり、単為発生率(卵細胞が受精せずに胚発生を開始する頻度)も0~0.2%と低く、両性生殖性植物であるトウモロコシ等における半数体出現率と同等以下の頻度である。そのため、アポミクシス率(交配次代における母親型実生の割合)も0%である(図1、2、表1)。 3. 東北大学で育成された‘KaD2’など、栽培ニラ品種に由来するアポミクシス性二倍体を花粉親として上記系統に交配すれば、容易にF1世代が得られ、その稔性も十分に高く(表2)、二倍体レベルでの交雑育種が可能である。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 上記3系統および‘KaD2’は、当研究室への受け入れ遺伝資源(ベースコレクション)として、農林水産ジーンバンクにパスポート登録した。 2. ‘94Mo13’、‘94Mo49’、および‘94Mo50’は略称(別名)であり、パスポート登録上の正式な系統名は、‘COL/MNG/1994/ASHIZAWA/13’、‘COL/MNG/1994/ASHIZAWA/49’、および‘COL/MNG/1994/ASHIZAWA/50’である。 3. 上記3系統は、わが国の栽培ニラAllium tuberosum Rottl. ex Spr. と比較して、開花期が約2ヶ月早く、開花期間が2週間程度と短い、など生態的特性に違いがあり、A. ramosum L. と同定される。しかし世界的にみれば、同種野生系統と栽培ニラとの間には連続的な変異が存在することが分かってきているため、A. tuberosum とされていたものも含めて、最近ではA. ramosum L. とする見解が有力である。 4. 上記系統と‘KaD2’とのF1世代およびBC1世代を用いることにより、アポミクシス性の遺伝解析が可能になると考えられる。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
カテゴリ | 育種 遺伝資源 とうもろこし にら 品種 |