タイトル | ホウレンソウケナガコナダニの増殖をもたらす餌種と死滅に要する高温条件 |
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担当機関 | (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 野菜茶業研究所 |
研究期間 | 2003~2005 |
研究担当者 |
春日志高 本多健一郎 |
発行年度 | 2005 |
要約 | なたね油かす、糸状菌類および野菜類残さの多くが、ホウレンソウケナガコナダニの増殖原因となりうる。本種の卵は成虫よりも高温に強いが、卵と成虫はともに40℃で24時間、45℃で3時間、あるいは50℃で1時間処理すると死滅する。 |
キーワード | 害虫管理、耕種的防除、高温耐性、ホウレンソウケナガコナダニ、ホウレンソウ |
背景・ねらい | ホウレンソウケナガコナダニは土壌中で増殖してからホウレンソウを加害するので、被害を防止するためには土壌中の個体数を少なく維持することが重要となる。これまでの防除対策は増えた本種に対する薬剤防除が中心であるが、土壌中で本種が増えないようにすればより根本的な対策となる。そこで、土壌中での本種の増殖を抑制する圃場管理法を策定するため、産卵数を指標として本種の増殖に好適な餌を明らかにする。また、増えた本種に対する熱処理による防除の基礎資料を得るため、本種の死滅に必要な温度と処理時間を調査する。 |
成果の内容・特徴 | 1. 雑菌の繁殖を防止するために餌と飼育容器を毎日交換する飼育条件下でも、有機質肥料のなたね油かすは対照の好適餌である乾燥酵母と同等に多くの産卵がみられる(表1)。これに対して、有機廃棄物(牛ふん、おがくず、稲わら)と堆肥(牛ふん堆肥、もみがら堆肥、稲わら堆肥)は不適餌であるろ紙と同等に産卵数が少ない。 2. 野菜類の残さでは、レタス、キュウリ、コマツナ、ホウレンソウ、チンゲンサイは新鮮な状態でも好適な餌になるが、シュンギクは好適餌と不適餌の中間であり、ネギとトマトは不適餌である(表1)。 3. 糸状菌3種では、Fusarium oxysporumとPythium aphanidermatumは産卵に好適な餌であり、Rhizoctonia solaniは好適餌と不適餌の中間である(表1)。 4. ホウレンソウケナガコナダニの卵は成虫よりも高温に強いが、卵、成虫ともに40℃で24時間、45℃で3時間、あるいは50℃で1時間処理すると死滅する(図1)。 |
成果の活用面・留意点 | 1. 本成果は、土壌中での本種の増殖を抑制する圃場管理および増えた本種に対する熱処理による防除の基礎資料として活用できる。 2. 圃場での増殖を防ぐには、本種が発生する晩秋から早春の間になたね油かすなどの有機質肥料を使用しないこと、圃場内に植物残さを放置しないことが重要である。 3. 有機廃棄物や植物残さ、未熟堆肥は糸状菌の発生を助長するため、間接的に本種の増殖原因となる。 4. 一般的な畑地で熱水土壌消毒や蒸気土壌消毒を行うと、本種の大部分が生息する地表面から深さ5 cmまでの層を70℃程度で数時間維持することができるので、それら熱処理による防除は十分に実現可能である。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
カテゴリ | 病害虫 肥料 土づくり 害虫 乾燥 きゅうり 高温耐性 こまつな しゅんぎく チンゲンサイ 土壌消毒 トマト なたね ねぎ 繁殖性改善 防除 ほうれんそう ホウレンソウケナガコナダニ 圃場管理 薬剤 レタス |