タイトル |
疫病、青枯病、PMMoV複合抵抗性台木用品種候補「トウガラシ安濃4号」 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所 |
研究期間 |
1997~2007 |
研究担当者 |
斎藤新
松永啓
齊藤猛雄
吉田建実
山田朋宏
佐藤隆徳
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発行年度 |
2007 |
要約 |
「トウガラシ安濃4号」は疫病、青枯病およびPMMoV(P1.2)に対して強度の抵抗性を示す。ピーマンおよびトウガラシ類用台木として利用できる。
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キーワード |
ピーマン、トウガラシ、抵抗性台木、疫病、青枯病、PMMoV
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背景・ねらい |
疫病、青枯病およびPMMoV(トウガラシマイルドモットルウイルス)によるモザイク病は、わが国のピーマンおよびトウガラシ類の栽培において、大きな被害を及ぼす土壌伝染性病害である。これら病害を回避するために近年、抵抗性台木への接ぎ木栽培が導入されつつあるが、3病害に対して強度の抵抗性を有する台木用品種はなく、その育成が期待されている。そこで、疫病、青枯病およびPMMoV(P1.2)に対して強度の抵抗性を有する台木用品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 「トウガラシ安濃4号」は、青枯病抵抗性のピーマン在来品種「三重みどり」と疫病抵抗性の素材系統「SCM334」との交雑後代系統に、PMMoV(P1.2)抵抗性のピーマン市販品種「ベルマサリ」を交雑した後代から選抜した固定系統である(図1)。
- 「トウガラシ安濃4号」は疫病および青枯病に対して「ベルマサリ」より強い抵抗性を示し、PMMoV(P1.2)に抵抗性を発揮するL3遺伝子を有する(表1)。
- 「トウガラシ安濃4号」は「ベルマサリ」と比較し、第1分枝の節位が高く、草姿がやや立性で、果実は中長形である(表2、図2)。
- 「トウガラシ安濃4号」の接ぎ木の難易は「ベルマサリ」と同等で、接ぎ木栽培時の収量は「ベルマサリ」台とほぼ同等である(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 「トウガラシ安濃4号」は疫病および青枯病に対して強度抵抗性を示すが、高温・高湿・高菌密度条件下では発病する可能性があるため、土壌消毒など他の防除法を併用することが望ましい。
- 「トウガラシ安濃4号」はPMMoV(P1.2)に対して過敏感反応型の抵抗性を示すため、PMMoVおよびToMV(トマトモザイクウイルス)が発生している地域では、穂木に「トウガラシ安濃4号」と同じL3遺伝子を有する品種を用いる必要がある。
- 「トウガラシ安濃4号」はPMMoV(P1.2.3)に対して抵抗性を示さないので、PMMoV(P1.2.3)が発生している地域では用いない。
- 「トウガラシ安濃4号」の果実はピーマン型で辛みはないが、果面に凹凸があり、青果用穂木品種としての利用には適さない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
青枯れ病
台木
接ぎ木
抵抗性
とうがらし
土壌消毒
トマト
ピーマン
品種
防除
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