タイトル |
結球開始期キャベツ体内窒素濃度の分光画像による推定と結球肥大特性 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所 |
研究期間 |
2003~2007 |
研究担当者 |
岡田邦彦
山崎敬亮(近中四農研)
生駒泰基(九州沖縄農研)
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発行年度 |
2007 |
要約 |
結球開始期の体内窒素濃度は市販デジタルカメラを改造した分光画像装置の800nm分光反射率と550nm分光反射率の比から推定できる。キャベツの結球肥大は結球開始期の乾物あたり体内窒素濃度が初夏どりで約3%以下、冬どりで約4%以下の場合に劣る。
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キーワード |
分光画像、キャベツ、窒素栄養診断、分光反射率、結球肥大
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背景・ねらい |
キャベツは生育後半の窒素欠乏で結球肥大が劣ることは知られており、精度の良い収穫予測を行うために生育途中での栄養診断は重要である。また、良好な結球肥大のために必要な栄養状態を把握しておくことは環境負荷軽減施肥管理技術を開発する場合にも、重要となる。そこで、結球開始期の窒素栄養状態と結球肥大特性の関係を明らかにし、簡便・迅速にキャベツ群落の窒素栄養状態を推定する手法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 分光画像撮影装置は市販デジタルカメラの赤外線カットフィルターを除去し、バンドパスフィルタ(中心波長550nm、800nm;半値幅はともに50nm)を装着したものである。
- 550nm、800nmの分光画像上に写し込んだ参照光計測用標準白色板画像とキャベツ葉画像上の画素の輝度の平均の比をそれぞれの分光反射率、R550、R800とし、個体単位のR800/R550と窒素含有率(乾物あたり全窒素;CNコーダで分析)の単回帰式で、個体窒素含有率が推定できる(図1)。特に、葉色計や色差計、簡易分析器では多くの測定を要する群落レベルでの窒素含有率推定を簡便に行うことができる(図2)。
- 結球開始期までの生育については、初夏どりで2%強、冬どりで約3%以上の体内窒素濃度で十分と考えられるが(データ省略)、1.5kg超の良好な結球肥大には、結球開始期の体内窒素濃度で初夏どりでは約3%、冬どりでは約4%必要と考えられる(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- デジタルカメラによる撮像画像における輝度と入射光強度の関係は通常直線的ではないので、使用機種について輝度修正を行う必要がある。
- ゲインコントロールなどの画像を自動的に修正する機能を無効化できないデジタルカメラ機種の使用は不適当である。
- 参照光の計測は標準白色板の写し込みにより行うほか、「参照光を同時に撮影する群落分光デジタルカメラ」(2004年度関東東海北陸農業・作業技術部会主要成果)を利用すれば、参照光の計測を簡便に行うことができる。
- 分光反射率による栄養診断は作物種・生育段階により異なってくることが知られている。ここでの推定パラメータは品種「松波」の結球開始期前後のものであり、例えば、品種「YR青春」でも、同様の結果が得られているが、パラメータは異なる。
- 分光反射率計測の特性上、晴天時の強直達光下での計測は難しく、薄曇り条件での計測が望ましい。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
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品種
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