ホウレンソウ葉表面に観察される白色顆粒

タイトル ホウレンソウ葉表面に観察される白色顆粒
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所
研究期間 2004~2006
研究担当者 堀江秀樹
発行年度 2007
要約  ホウレンソウの葉の表裏に観察される白色顆粒は、球形で直径は0.1~0.2mmである。本顆粒は品種に関わらず発生し、有機酸などを含む水溶液が脂溶性の膜に包まれたものである。顆粒中には糖やアミノ酸はほとんど含まれない。
キーワード 顕微鏡観察、有機酸、異物、成分組成
背景・ねらい  ホウレンソウ葉には白色顆粒が観察され、農薬や昆虫の卵、砂粒等異物と誤解されがちである。従来はシュウ酸カリウムの結晶などと説明されてきたが、灌水や降雨の後も存在し、また球状構造を維持することからも水溶性の高い成分の結晶としては説明がつかない。本顆粒の正体を明らかにし消費者に正確に伝える必要がある。
成果の内容・特徴
  1. 白色顆粒はホウレンソウの葉の表裏両面に存在する(写真1)。本顆粒は直径0.1~0.2 mmの球形であり、葉の表面と筒状の構造でつながっている(写真2)。また、ホウレンソウの品種や病害虫に関わりなく発生し、特に若い葉において高密度に観察される。
  2. 白色顆粒を乾燥すると重量が90%程度減少する。
  3. 白色顆粒は水には溶けないが、クロロホルム/メタノール溶液中では破壊される(写真3)。また、高濃度の硫酸アンモニウム溶液中では変形する。これらのことから、白色顆粒は水溶性物質の結晶ではなく、半透性で脂溶性の膜が水溶液を包んで風船のように膨らんだものである。
  4. 遊離糖、アミノ酸、有機酸の含量について、顆粒と顆粒を採取した葉身との間で比較した結果、顆粒中には糖、アミノ酸はほとんど含まれず、シュウ酸などの有機酸が含まれる(図1)。顆粒中のシュウ酸含量は、葉身中の含量よりやや高い程度である。
成果の活用面・留意点
  1. 本成果は消費者からの相談などの場面で活用する。
  2. 白色顆粒はホウレンソウ植物体由来であるが、生成メカニズムや植物生理学的な意義については未解明である。
  3. 白色顆粒は指などで触れれば簡単に落ちる。本顆粒が付着したホウレンソウ葉をそのまま食したとしても、顆粒由来のシュウ酸の摂取量は無視できる量である。
図表1 233132-1.jpg
図表2 233132-2.gif
カテゴリ 病害虫 害虫 乾燥 植物生理 農薬 品種 ほうれんそう

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