タイトル |
良食味水稲新奨励品種「チヨホナミ」 |
担当機関 |
岩手県立農業試験場 |
研究期間 |
1983~1988 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1989 |
成果の内容・特徴 |
- 技術・情報の内容及び特徴
岩手県では「キヨニシキ」「コガネヒカリ」クラスの中生種で、良質多収の 「チヨホナミ」を奨励品種に編入した。
- 育成
「チヨホナミ」は宮城県古川農業試験場で、昭和54年「越南121号(のちのアキホマレ)」 を母に、「東北125号(のちのコガネヒカリ)」を父とする交配から育成されたもので、 昭和59年から「東北134号」の系統名で地域適応性が検討されてきたものである。 宮城県では昭和62年奨励品種に採用されている。
- 特性(表1,2,
図1)
- 出穂、成熟期は「キヨニシキ」と「コガネヒカリ」の中間の、岩手県では中生の晩
である。
- 稈長、穂長は「コガネヒカリ」並、穂数は「キヨニシキ」よりやや多く、中短稈の
偏穂数型品種である。
- 玄米重は「コガネヒカリ」にはやや劣るが「キヨニシキ」より8~10%程度多収である。
- 玄米の外観品質はやや変動しやすく、気象不良年や追肥量が多く登熟が遅れる時、
及び遅刈りでは乳白粒が増加し、玄米光沢も悪くなりやすい。平常年では 「キヨニシキ」「コガネヒカリ」並の品質である。
- 倒伏抵抗性は「キヨニシキ」にまさり、「コガネヒカリ」に近い強である。
- いもち病抵抗性遺伝子はPi-aと推定され、葉いもち抵抗性はやや弱、穂いもち抵抗性は
中程度である。
- 障害型冷害抵抗性は「コガネヒカリ」並である。
- 食味は「キヨニシキ」「コガネヒカリ」にまさり、「ササニシキ」「あきたこまち」
並と良好である。
- 技術・情報の適用効果
岩手県では「キヨニシキ」「コガネヒカリ」クラスの中生種の銘柄米の作出が急務で ある。また一方では異常気象に対応した安定品種の選定も強く要望されている。 「チヨホナミ」は「キヨニシキ」より多収で、「ササニシキ」並の食味を持つ良食味 多収品種であり、収量の安定化と食味の向上により、中生種の銘柄米としての 位置づけのもと、良食味米生産県としての地位を確保することができる。
- 適用の範囲(図1)
「キヨニシキ」「コガネヒカリ」の作付け地帯で、岩手県では標高おおむね100~150m の地帯を適用地帯とする。
- 普及指導上の留意点
- いもち耐病性は「ササニシキ」にはまさるが、ササニシキ地帯に準じて適期防除に
努める。紋枯病の防除も同様に適期防除に努める。
- 多肥多収型の品種であるが、登熟がおくれると玄米の外観品質も低下しやすいので
窒素基肥量は「コガネヒカリ」よりやや少なめ、追肥は幼穂形成期を基本とし、 過度の追肥は行わない。
- 刈取適期幅は積算平均気温で1,050~1,200度C程度と思われ、遅刈りでは乳白粒の
増加や、玄米光沢の低下が見られるので、刈り遅れによる品質低下に注意する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
いもち病
水稲
抵抗性
抵抗性遺伝子
凍害
品種
防除
良食味
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