成果の内容・特徴 |
- 技術・情報の内容及び特徴
小麦の雪腐病抵抗性は接種後埋雪するか積雪下環境(低温・暗黒・多湿)を模した 環境制御施設で長期間(1~3カ月)発病させて検定している。多大な時間と特別な 施設・環境を要する。 本法は病原菌の生育適温が10度C以上の高温域にあることに着目して、(1)競合微生物を 排除するために減菌土壌を詰めた苗箱に播種、(2)戸外で生育・ハードニングさせ、 (3)病原菌を人工接種後、(4)湿った脱脂綿で覆った上に別の苗箱をかぶせて湿度を 保ち、(5)定温器(15度C前後に設定)に5~20日置いてから、(6)室温で3週間再生育 させ、(7)生存株を調査する。 定温器内での精置期間を3~5水準処理することによって、抵抗性を定量的に表示する LI50(50%個体が死亡する静置日数)が容易に求めることができる。 図1. 接種温度と病原力の関係 図2. 接種後静置日数(18度C)と品種間生存茎率の関係 図3. 積雪下日数 表1. 紅色雪腐病抵抗性に関する品種間変異 - 技術・情報の適用効果
- 接種後静置(発病)期間が大幅に短縮される。また0度C近い定温を保つための施設と
費用が節減される。さらに生育とハードニングを人工気象室で実施すれば年間を 通じて抵抗性検定が可能となる。
- LI50は品種・系統の抵抗性の程度を定量的に示すとともに
(表1)、同一品種の抵抗性の時間的推移の解明 及び発現・維持・消失機構の究明に役立つ(図2)。
- 適用の範囲
麦類以外のイネ科牧草へも適用できる。雪腐大粒菌核病菌やLTBへの適応は難しい。
- 普及指導上の留意点
LI50値は栽培条件(播種期・施肥量)や気象条件により変動し、また 病原菌の種類や菌株間で異なることに注意する。
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