タイトル |
多湿・濡れ環境下の作物試験のための霧チャンバー |
担当機関 |
東北農業試験場 |
研究期間 |
1989~1989 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1989 |
成果の内容・特徴 |
- 技術・情報の内容及び特徴
- 霧による多湿あるいは濡れを伴う環境を、圃場で簡易に再現できる霧チャンバーを
開発した。
- チャンバーは市販のパイプハウスの妻面に換気扇を設置し、反対側の妻面から
外気を導入する構造である。外気の流入口に細霧冷房用のノズルを取付け、 高圧ポンプで霧を発生する(図1)。
- 今回試作したチャンバーの場合、ハウスは間口3.6m、奥行き10mである。換気扇には、
羽根径30cm、公称出力50W、公称風量毎分28立方メートルのものを2台、また噴霧 ノズルは、10気圧で作動時に平均粒径30μmの霧を毎分約100cc発生する能力の ものを4個使用した。高圧ポンプには、電動式の動力噴霧器を利用した。
- 本装置は、市販の安価な資材で製作可能なこと、ノズルの個数や換気量の調節で、
霧発生量、霧濃度、濡れの程度を容易に加減できること、ハウス内に温度傾度が 生じるため、それを利用して温度条件の異なる環境を得られること、ハウス外面に 寒冷紗を被覆することにより、低日射条件を再現できることなどの特徴がある。
- 技術・情報の適用効果
- 外気の流入口から3m程度で実際の霧濃度に近い状態となる
(図2)。今回の設計(噴霧量を流入外気を飽和 するのに必要な水量の2~3倍とした)では、この濃度が濃いやませ霧の状態に 相当する。
- 濡れの程度(ろ紙で測定)も、同様の傾向である
(図3)。奥行方向の違いを利用することにより、 試験対象物の濡れの状態を変えられる。
- 換気量を変えることにより、ハウス内の温度傾度を調節できる
(図4)。これにより、ほぼ同じ温度状態で霧の 有無の影響を比較できる。
図5. 日中の霧による温度変化の例 - 適用の範囲
作物を霧で濡らすこと、あるいは多湿な環境にさらすことを目的とした装置である。 耕地上の霧の挙動や群落内の流れなど、物理的な現象の解析には適さない。
- 普及指導上の留意点
内部の環境が屋外の気象条件に左右されるため、あらかじめ適正な噴霧量と換気量を 求めておく必要がある。条件によっては、電磁弁で噴霧量を制御するのが望ましい。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
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