タイトル |
肥育素牛群と繁殖牛群の先行・後追い放牧利用方式 |
担当機関 |
東北農業試験場 |
研究期間 |
1986~1988 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1989 |
成果の内容・特徴 |
- 技術・情報の内容及び特徴
日本短角種の2シーズン放牧肥育においては、肥育牛の赤肉生産割合を高めることや 草地の効率利用を図る上から、2シーズン目の放牧育成期における肥育素牛の日 増体量(DG)0.6kg以上、草地の牧養力560CD/ha以上及び放牧期間160日以上を目標とした 家畜生産及び草地生産が必要である。しかし、従来の輪換放牧でこれらを満足 させることは極めて困難であるが、肥育素牛を先に放牧し、その後に残草処理を 目的にして繁殖雌牛を放牧する「先行・後追い放牧方式」を適用することによって、 それらの目標を確実に達成できることが明らかになった。
- 技術・情報の適用効果
- 先行・後追い放牧によって目標とする家畜生産及び草地生産を達成した放牧草地は、
長草型草地ではペレニアルライグラス主体草地、トールフェスク主体草地及び チモシー主体草地、短草型草地ではケンタッキーブルーグラス・レッドトップ混播 草地である(表1)。
- 各草地とも先行・後追い放牧によって、放牧草を短草状態で維持することができたが、
短草状態に保たれた牧草の栄養価は極めて高い水準にあり、また季節変化も比較的 小さい(図1)。先行牛である肥育素牛の高い 増体量はそのような放牧草を常時採食できたことによって得られたものと推察 できる。
- 放牧草を短草状態で維持するには、先行牛及び後追い牛の入牧開始時期をできるだけ
早めること(先行牛の入牧開始はイネ科牧草の草丈16~20cmが目安)、スプリング フラッシュ時には後追い牛の放牧圧を高めること(草量や面積に応じて先行牛と 後追い牛の放牧頭数比を1:1から1:2の範囲で調整)、放牧期間全般を通じ滞牧日数を 短くし(1牧区当たり先行牛は1~6日、後追い牛は1~4日)、短期輪換を行うことが 有効である(表2)。
- 適用の範囲
北東北全地域。ただし、ペレニアルライグラス主体草地、トールフェスク主体草地 及び短草型草種主体草地は低、中標高地、チモシー主体草地は高標高地を対象 とする。
- 普及指導上の留意点
- 冬期育成期の目標DGは0.7kgとし、良質粗飼料多給にて飼養する。
- 放牧期間中夏期は肥育素牛の増体量が暑熱などのサマーストレスによって低下
しやすい。暑熱対策を講じ体重の減少を極力避ける。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
さやいんげん
肉牛
繁殖性改善
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