タイトル |
牧草ロールベールサイレージの長期貯蔵と飼料価値 |
担当機関 |
東北農業試験場 |
研究期間 |
1986~1988 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
1989 |
成果の内容・特徴 |
- 技術・情報の内容及び特徴
- ロールベールサイレージの長期貯蔵は、被覆ビニールの虫や鳥などによる食害、
風雨、寒気、雪による破損などにより困難であるが、アンモニア処理、尿素処理 により長期貯蔵が可能である。
- アンモニア処理はスタックの様に完全密封が困難な場合や大規模に貯蔵する場合には
原物当たり2%以上、バッグなど小規模な貯蔵では1%程度の添加が必要である。
- アンモニア処理は水分50%程度以下の材料に適用し、より高水分の材料では
尿素処理を適用する。これらの処理により長期貯蔵と開封後の好気的変敗の抑制が 可能であり、アンモニア処理では、消化率が数%から10%程度向上する。
- 技術・情報の適用効果
- アンモニア、尿素処理は長期の貯蔵中及び開封後の変敗を防止した。アンモニア処理
では開封後の発熱、発カビがなく、尿素処理では発熱が認められたが、カビでは 発生しなかった(図1)。
- 飼料成分は尿素処理では無処理区と差がなかったが、アンモニア処理では、Oa
(高消化性繊維)区分が増加し、Ob(低消化性繊維)区分とOCW(有機細胞壁:総繊維) 区分が減少した(図2)。アンモニア2%処理により OCWの消化率が大きく上昇し、TDNも10%程度上昇したが、尿素を2%処理しても TDNは上昇しなかった(図3)。
- 材料水分とアンモニア添加量によるTDNへの影響を調べた結果、各水分区とも
アンモニア添加量が増加するに従ってTDN含量は増加したが、高水分では組織が崩れ、 アンモニアの揮散が困難であり、また乾物当たりのアンモニア添加量も多くなるなど 高水分牧草へのその適用は得策ではないと判断された (図4)。
- めん羊の嗜好性は尿素処理牧草で劣ったが、1%の尿素処理牧草だけを与えた場合は
十分採食した。肉牛に14ヵ月間アンモニア処理牧草を給与した結果、嗜好性、 増体とも優れていた。
- 適用の範囲
ロールベーラが使用可能な東北地域の草地
- 普及指導上の留意点
アンモニアの取扱に注意し、処理草の急激な給与を避ける。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
図表4 |
 |
カテゴリ |
長期保存・貯蔵
肉牛
羊
|