タイトル |
部分耕移植栽培による低湿重粘土汎用水田の土壌物理性の改善 |
担当機関 |
秋田県農業試験場 |
研究期間 |
1988~1989 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1989 |
成果の内容・特徴 |
- 技術・情報の内容及び特徴
低湿重粘土の輪換田において、苗を移植する部分のみを幅5~10cm、深さ5~10cmに 耕起して水稲を栽培すると、水田期間の土壌の物理性が悪化する“もどり”現象の 進行を遅らせることができるので、再び畑へ輪換した初年目から排水を良くし、 畑作物の安定収量を得る土壌管理方法の1つとして有効である。
- 技術・情報の適用効果
- 部分耕区では、大部分の稲わらが作土に混入されないので深さ3cm以下の層は酸化的な
状態で推移し、二価鉄の生成も少なかった (図1)。
- 部分耕水田は、代かきによる亀裂の破壊がないので、収穫時のインテークレートが
明らかに大きく、降雨後の停滞水の消失が早かった (表1)。
- 部分耕区は、中干し時、及び収穫時の貫入抵抗が大きく、刈取り適期になると
直ちにコンバイン収穫作業が可能であった(図2)。
- 部分耕区の水稲根は、表層に多いが、下層に伸長した根も慣行区より多かった。
部分耕区の初期生育は、田面に施肥した場合はおとるが、側条施肥を行なうと 慣行栽培並の生育となり、同等の収量が得られた (表2)。
- 水稲収穫後の麦栽培において、部分耕移植跡は砕土性が良いので出芽が慣行区に
まさった。また、水稲の立毛間に播種した時も、排水が良いので小麦の初期生育が まさった(図3、 表3)。
- 適用の範囲
低湿重粘土汎用水田において、水田の継続による土壌の強還元、排水不良、地耐力 低下を防ぐ効果がある。特に、畑へ輪換する前の水田で行なうと、輪換初年目の 畑作における土壌物理性改善効果が期待される。
- 普及指導上の留意点
この方法が適用できる土壌条件は漏水の危険性のない、比較的肥沃な土壌であり、 物理性改善効果は低湿重粘土において大きい。技術の実用化には側条施肥が可能な 能率的な作業機の開発と、雑草防除技術の確立が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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図表6 |
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カテゴリ |
病害虫
雑草
水田
水稲
施肥
播種
防除
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