タイトル |
土地利用型作物導入における営農集団の成立条件 |
担当機関 |
山形県立農業試験場 |
研究期間 |
1988~1989 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1989 |
成果の内容・特徴 |
- 技術・情報の内容及び特徴
転作地の集団的土地利用は、麦、大豆等土地利用型作物の経済的栽培を可能にし、 中核的農家の規模拡大や後継者の部門拡大に活用できる。土地利用調整により、 (1)排水条件の確保、(2)作業規模の確保、連作障害対策など麦、大豆栽培に 欠かせない条件が整備され、営農集団が有効に機能できる。
- 土地利用調整組織
調整の場は、地縁的組織である集落農事実行組合であるが、中核的農家で構成する 転作組合、若しくは作物別振興会は転作地の利用集団として土地利用調整を強力に 推進すべきである。 調整組織は、各作物部会、機械利用組合、後継者グループ、部落会、農協および 行政機関を含む大きな仕組が必要で、推進協議会を設置し、基本的な考えを まとめるのが効果的である。
- 団地化調整の手段
団地化の手段は、互助制度による転作地の所得補償及び交換耕作であるが、 交換耕作者に団地化の調整システムとして団地全体から補償金を出すこと (10a当たり5,000円程度)が強力な推進手段となる。
- 協議事項と方法
協議事項は、(1) 互助制度(金) (2) 転作団地の設定(位置、順、年数) (3) 交換耕作地の割り付け・調整 (4) 復旧経費(条件) (5) 作物配置(担当者) (6) 補助事業等の条件整備など広範囲におよぶので、慎重にメンバーを選んで 検討を重ねることが重要である。
- 運営資金
交換耕作補償金、水田への復旧費、調整事務費(交換耕作の設定、互助金及び飯米の 手当)など運営に必要な資金として、互助金や助成金の一部を積立、留保することが 重要で、このことは地域リーダー活動の大きな支えになる。
- 収益性及び営農体制
麦及び大豆は、10a当たり収益は高くないが、労働1日当たり収益は、15000円程度期待 出来るので大規模栽培でメリットが発揮できる。そのためには収量の高位安定を確保 する必要がある。 特に複合作業による作物切替や、同時作業を進める体制作りなどが必要である。また 汎用コンバインの普及により大豆の大規模栽培が容易になったが、その利用向上を 図るために、集落を越えた広域的な受託体制の整備が緊急の課題である。
- 指導、援助
難しい土地利用調整を可能にするため、中核的農家と歩調を合わせ、土地利用調整を 集落実行組合の協議の場へのせるための働きかけ、計画作成、互助制度の設定など、 農協や行政の指導効果が極めて高い。
具体的データ - 技術・情報の適用効果
集団的土地利用により、土地利用型作物の経済的栽培が可能になり、中核農家の 規模拡大や後継者部門としてに活用出来る。
- 適用の範囲
大豆及び小麦により水田の高度利用を図る地域
- 普及指導上の留意点
対象地域の自然的、社会的条件により対応の形がかなり異なるので地域の状況に 応じて適切な方法を選択する必要がある。特に実行組合が弱体な場合、外からの 強力な指導が必要になる。
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図表1 |
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カテゴリ |
規模拡大
水田
大豆
連作障害
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