成果の内容・特徴 |
- 技術・情報の内容及び特徴
- 岩手県では「ササニシキ」級の晩生種で、良質・良食味の「東北143号」を
奨励品種に編入した。
- 「東北143号」は宮城県古川農業試験場で、「コシヒカリ」を母親、「初星」を
父親とする交配から育成された。岩手県では昭和63年に奨励品種決定予備試験、 平成1年から奨励品種決定本試験及び現地試験に供試・検討した。
- 特性(「ササニシキ」と比較して)
- 出穂期は並、成熟期はやや早い、岩手県では「晩生の中」。
- 稈長は並、穂長はやや長く、穂数は少ない。偏穂数型品種。
- 耐倒伏性はやや強い、「やや弱」。
- 収量性は並~やや少収だが、年次による変動が少なく安定している。
- 玄米千粒重は重く、玄米外観品質はやや優れる。
- いもち病抵抗性遺伝子はPi-iと推定され、葉いもち抵抗性は並の「やや弱」、
穂いもち抵抗性はやや強い、「中」
- 障害型耐冷性は強く、「極強」。
- 穂発芽性は「難」。
- 食味評価は「ササニシキ」よりあきらかに良好。
表1, 東北143号の特性概要
- 技術・情報の適用効果
「東北143号」はいもち耐病性・耐倒伏性が「ササニシキ」よりすぐれ、収量性が 並~やや劣るが、年次による変動が少なく安定している。品質もまさり、耐冷性は 極強、穂発芽性は難、食味はあきらかにまさっている。このため、「東北143号」を 奨励品種とすることにより、本県中南部の作柄安定化と産米の品質・食味の向上が 図れる。
- 適用の範囲
北上川中下流地帯平坦部の標高100m以下。当面の普及見込み面積は10,000ha
- 普及指導上の留意点
- 基肥窒素は「ササニシキ」よりやや多めとするが、多肥栽培は倒伏や品質低下の
原因となるので避ける。
- 穂数・1穂籾数が「ササニシキ」より少ないため、栽植密度は十分確保する。
- いもち耐病性は「ササニシキ」並~やや優るが、「ササニシキ」に準じた適期防除に
努める。
- 刈取適期については、「ササニシキ」より登熟が早いので、出穂後の日平均気温積算で
900~1,150度Cを目安とし、遅刈りにならないようにする。
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