だいこん栽培におけるキタネグサレセンチュウの被害予測と対抗植物の利用技術
タイトル
だいこん栽培におけるキタネグサレセンチュウの被害予測と対抗植物の利用技術
担当機関
岩手県立農業試験場
研究期間
1987~1991
研究担当者
発行年度
1990
成果の内容・特徴
技術・情報の内容及び特徴
寒冷地のだいこん栽培におけるキタネグサレセンチュウ(Pratylenchus penetrans)
について、被害予測及び耕種的防除の体系化等を明らかにした。
作付前の土壌中線虫密度からだいこんの被害推定が可能である
(図1)。
ア. 作付前土壌中の線虫密度(x)(ベルマン法による生土30g中の頭数)と
だいこん肥大根部の寄生斑点数(Y)(表皮5×5cm当たり)との間に次式の1次線形の
相関があった。 logY=0.4+0.5456logx (r=0.78)
イ. 線虫密度が5頭(/30g生土)以下であれば、だいこんの被害はごく軽微である。
線虫密度に水準を設け、各密度水準ごとの防除対策を以下に示す。
ア. 低密度(5頭/30g生土以下)を維持する対策
(ア)線虫密度を増加させない作物(ギニアグラスなど)との輪作
(イ)排水対策 (ウ)汚水土壌を持ち込まない
イ. 中~高密度(10
2
頭/30g生土以下)を低下させる対策
(ア)マリーゴールドの作付け(移植で45日以上、直播で70日以上在圃)すき込み
(イ)または薬剤による防除(オキサミル粒剤または土壌くん蒸剤)
ウ. ごく高密度(10
2
頭/30g生土以上)を低下させる対策
マリーゴールド(直播80日以上在圃)またはギニアグラス(直播80以上在圃)の
作付すき込みによって線虫密度を20~30頭/30gまで低下させた後、オキサミル
粒剤を使用
対抗植物の利用技術
ア. マリーゴールドは真空播種機(ノズル穴直径0.6mm)と除草剤(トリフルラリン乳剤
など)を用いることで、省力的に直播栽培ができる。移植栽培では、3.5cm角
ペーパーポットで20日間育苗し、栽植距離30×30cmで移植する。品種はアフリカン系を
用いる。効果はすき込み後2年間3作まで持続する
(表1, 表2)。
イ. ギニアグラスはナツカゼまたはナツユタカを用い、6月中旬から7月下旬に10a当たり
1~2kgを散播し、レーキなどでごく浅く覆土する。除草剤(アトラジン水和剤など)を
用いることが有効である。
非くん蒸型線虫防除剤オキサミル粒剤は、30kg/10a全面施用では施用後2作目まで
実用的な被害軽減効果が持続する。
技術・情報の適用効果
作付前の線虫密度の診断による圃場選定や対応策の検討が可能となる。
対抗植物の導入や輪作など耕種的防除法を含めた総合防除体系をとる上で参考となる。
適用の範囲
寒冷地のだいこん栽培地帯
(一部はキタネグサレセンチュウの被害が問題となる他作物にも適用できる)
普及指導上の留意点
マリーゴールド・ギニアグラスはすき込み後、窒素の取り込みやだいこん播種作業の
精度低下のおそれがあるため、すき込みからだいこん播種まで2週間から1ヶ月の
間隔をおくこと。
マリーゴールド、ギニアグラス栽培において農薬登録のある除草剤はない。
図表1
図表2
図表3
カテゴリ
病害虫
あま
育苗
直播栽培
除草剤
だいこん
土壌くん蒸
農薬
播種
品種
防除
マリーゴールド
薬剤
輪作
用語の事典として使えます。
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