タイトル |
水田における土壌珪酸の実態と土づくり肥料(珪酸)の施用基準 |
担当機関 |
岩手県立農業試験場 |
研究期間 |
1988~1990 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1990 |
成果の内容・特徴 |
- 技術・情報の内容及び特徴
- 土壌診断のための新しい分析法(以下、診断珪酸とする)を開発した。
- 診断珪酸法:風乾土10gに0.1N酢酸-酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.0)100mlを加え、
40度C、5時間浸出後濾過。濾液をモリブデン青法で比色定量するが、発色前のpH 調整は0.5N塩酸を用い、浸出液10mlに対し一律に5ml加える。
- 特徴:発色は従来の珪酸分析法で一般的であったGreenish Blue(緑がかった青)
ではなく、Royal Blue(完全な青)となる。この方式ではろ液中の珪酸含量が高濃度 (500μgSiO2)でも直線的に定量可能で吸光度は4時間まで安定。ろ液中の燐酸の有無を Murphy Riley法で検討した結果、供試土壌(Truog燐酸で30mg/100gまで)のろ液中に 燐酸は含まれていなかった。
- 従来法による珪酸(Y)と診断珪酸法(X)との関係:Y=2.61X
- 診断珪酸法による土壌中珪酸の目標値は15~25mg/100gとし、この場合の水稲(成熟期)の
茎葉珪酸含有率は11~14%、珪酸吸収量は80~110Kg/10aとなる。診断珪酸値が15mg 以上の場合は、珪酸質資材の施用効果は期待できないとし、適正値以下の場合は 15(mg/100g)を目標にして資材施用量を算出することとした。
表1 1N抽出と0.1N抽出液での妨害物質の影響(比色値) 図1 診断珪酸法と従来法の関係 図2 診断珪酸値の頻度分布 - 技術・情報の適用効果
土壌診断に基づき土壌改良資材が適正に施用されるようになる。
- 適用の範囲
ごま葉枯れ多発地帯は鉄やマンガンなどにも極度の欠乏がみられるため、この技術の 適用除外とした。
- 普及指導上の留意点
- 診断珪酸法は土壌中の可給態珪酸全体の分析法ではなく、あくまでも土壌診断のための
珪酸分析法である。
- 従来法での目標値は30(SiO2、mg/100g)とされているが、これを
診断珪酸法に換算すると、10.5(SiO2、mg/100g)となる。しかし、稲体の 茎葉珪酸含有率を考慮して適正値の下限を15(SiO2、mg/100g)に 設定した。
- 診断珪酸値が適正値であれば、稲体の茎葉珪酸含有率はいもち病及び耐倒伏性からみた
健全域である11~14%が確保され、同様に交換性石灰及びpHも基準値を満足する。
- 珪酸は溶脱しやすい元素であるため数年に1度は土壌診断を行い、また堆肥や稲わら等の
施用も考慮しながら資材施用の要否について判断する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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