タイトル |
太繊度蚕品種「ありあけ」の省力飼育技術 |
担当機関 |
岩手県蚕業試験場 |
研究期間 |
1988~1990 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1990 |
成果の内容・特徴 |
- 技術・情報の内容及び特徴
「ありあけ」は、冷涼な気象条件の春、晩秋蚕期にその特性を発揮し、繭糸長は 短かいが多収性で繭生産効率が高い。本品種の飼育特性を明らかにし、新素材用 原料繭安定生産のための省力飼育技術を策定した。
- 5齢期の給桑形態及び給桑回数は、バインダで収穫した密植桑をそのまま扇状に広げ、
1日1回給桑とする。なお、普通桑も1日1回でよい。
- 壮蚕期無除沙・機械利用の廃条処理に対応するため、U字型蚕座の底辺中間部分を
切り離し、ジョイントを取り付け加工して使用する。 この蚕座は飼育部分の深さが60cmで、無除沙飼育の最大給桑時における蚕座高にも 十分対応できる。また廃条片付け時に蚕座両側からパイプと側壁網を引き抜くと 容易に解体でき、後には廃条だけが残るので機械処理が可能である。 フォークリフト等の使用では、蚕座下に木製パレット等を敷設する。
- 1日1回・密植束給桑は、1日2回・普通条桑給桑に比べ60~69%の省力化が可能である。
- 壮蚕期無除沙飼育・機械による廃条処理は、5齢1回中間除沙・人力の廃条処理に比べ
52~57%の省力化が可能である。
- 省力飼育技術体系は、人力作業体系に比べ10アール当たり労働時間で29%、上繭100kg当たり
労働時間も111.5時間に対し77.5時間と31%の省力化となる。 なお機械利用時間割合も人力作業体系32.6%に対し38.2%と向上する。
表1 飼育技術体系の違いによる労働生産性の比較 - 技術・情報の適用効果
気象等立地条件を活かして洋装外衣の新素材(スパンロウシルク・ネットロウシルクなど)の 原料繭の安定生産と太繊度繭の生産団地化が促進され、体質の強い産地形成が図られる。
- 適用の範囲
県北部地域
- 普及指導上の留意点
- 太繊度蚕品種は高温蚕期の通気の悪い蚕室などでは座むれをおこすので大型循環扇を
用いて換気する。
- 無除沙体系では蚕が蚕座の底に埋没することがあるので、4・5齢の桑付け時に良く蚕の
発育を揃える。
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図表1 |
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カテゴリ |
加工
桑
飼育技術
省力化
多収性
品種
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