タイトル |
土壌窒素発現予測に基づく水稲の栄養・追肥診断システム |
担当機関 |
福島県農業試験場 |
研究期間 |
1988~1990 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1990 |
成果の内容・特徴 |
- 技術・情報の内容及び特徴
水田土壌の窒素発現率予測法を総合計量化方式による水稲の生育予測栄養診断法 に組み入れ、水稲(コシヒカリ)の生育予測・栄養診断・追肥診断システムを開発した。
- 土壌窒素発現の予測
土壌(作付け前および最高分げつ期に採取)を25度Cで培養し、生成したアンモニアの 発現パターンから反応速度論的解析法により反応モデルと無機化パラメータを求め、 土壌の窒素発現量を地温(気温)から推定する。
- 水稲の窒素吸収量からの生育予測
水稲の生育時期別(最高分げつ期、幼穂形成期、出穂期)窒素吸収量から成熟期の 稈長、籾数、倒伏度を推定する予測式を重回帰分析により求めた。
- 土壌窒素発現量と水稲窒素吸収量
最高分げつ期(7月上旬)以降の1次反応モデルから予測した土壌窒素発現量は水稲の 窒素吸収量とほぼ一致し、追肥診断に重要な生育後半の水稲生育、窒素発現量と 気温の関係が明らかとなった。 表1 水稲の栄養・追肥診断システムの効果 図1 予測・診断の手順 表2 コシヒカリの窒素吸収量を変数とした生育予測式 表3 水稲の時期別土壌由来窒素吸収量 - パソコンによる診断システム
生育時期(移植後30日、最高分げつ期、幼穂形成期)ごとの診断図が示され、 生育予測値および目標生育量へ制御するために必要な追肥時期、追肥量、 水管理等の栽培管理技術が出力されるコシヒカリの診断システムを作成した。
- 技術・情報の適用効果
コシヒカリ600/10aを目標にして、本システムの実証試験を実施した結果、8~15%の 増収となり、土壌の窒素発現予測要因を加えることにより水稲の生育予測の精度が 向上した。本システムの適用により土壌診断、栄養診断に基づく水稲の高品質 安定多収栽培技術の確立が期待できる。
- 適用の範囲
福島県中通り、会津、浜通り平坦部
- 普及指導上の留意点
土壌の培養データ、土壌窒素無機化特性値が必要である。今後、これら土壌のデータ および水稲各品種のデータを集積することで適用範囲を広げ、施肥窒素および土壌窒素の 利用率を検討することにより予測精度の向上をはかる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
栄養診断
栽培技術
水田
水稲
生育予測
施肥
多収栽培技術
土壌診断
品種
水管理
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