成果の内容・特徴 |
- 技術・情報の内容及び特徴
平成3年の青森県の水稲は、穂孕期と開花期にヤマセによる異常低温と 少照が重なり、このため障害不稔が発生し、作柄は「著しい不良」となった。 地域的にはヤマセが直撃した南部地域の被害 が大きかった。 そこで、冷害の実態解析を場内試験及び南部地域の現地試験等の材料を中心 に行った。
- 出穂日別の不稔発生は7月30日~8月2日頃に出穂した稲に多発し、出穂日がこれ
より早いほど、あるいは遅れるにつれて少なかった (図1)。
- 不稔発生は、穂孕期(出穂前11日~20日)の最低気温(X1)と開花期
(出穂後10日間)の最低気温(X2)とが強く関係し、特に穂孕期の 気温がより強く影響したとみられた(表1)。
- 出穂期が8月2日の「むつほまれ」について、低温遭遇時期が異なる7月10日
(穂孕期の低温以前)、7月17日(穂孕期に一部低温)、8月8日(穂孕期に全期間低温、 開花期に一部低温)の3時期にポットに株上げ加温養成した材料の不稔歩合と従来の 知見等から、不稔発生に対する穂孕期並びに開花期低温による影響度の区分を試みた。 その結果、不稔歩合45.7%のうち穂孕期低温による不稔発生が25~30%、開花期低温 によるものが15~20%と区分され、これは不稔発生全体の60%前後が穂孕期低温、 40%前後が開花期低温による影響度と推定された (図2)。
- 基肥窒素量が多いほど不稔歩合が高く、多窒素栽培は冷害抵抗性を低下させた
(図3)。
- 不稔の発生程度が高いほど品質(検査等級)は不良で、しかも刈遅れによる品質低下
が大きかった。不稔発生が20%程度の刈取時期は、出穂後の積算気温が通常の場合に 比べて100度C程度早まった(図4)。
- 現地の被害実態は、海岸寄りから内陸部の地域に入るにしたがって激しくなる
傾向がみられた。これは、海岸寄りの地域に比べて水稲生育の進みが大きかった 内陸部の地域ほど穂孕期と開花期の両時期に異常低温少照に遭遇したことによるもの であり、この被害実態は本年の特徴とみられた (表2)。
- 技術・情報の適用効果
穂孕期並びに開花期の低温による不稔発生年次での被害要因の解析や、不稔発生した場合 の品質保持のための適期刈取りの指導に活用する。
- 適用の範囲
県下全域
- 普及指導上の留意点
なし
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