タイトル |
乳苗移植技術導入の経営的効果 |
担当機関 |
東北農業試験場 |
研究期間 |
1990~1991 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1991 |
成果の内容・特徴 |
- 技術・情報の内容及び特徴
稲作の規模拡大を図っていく上で克服しなければならない技術的中心問題に、 人力作業工程の省力化や移植期間の労働ピークの緩和がある。乳苗はこのよう な問題点の改善に対して効果的であり、機械・施設の変更や導入を図る上で 特別な技術習得期間を必要とすることなくコストダウンが期待できる技術で ある。そこで、1991年度より乳苗を導入した岩手県内の大規模稲作経営(A 経営)の作業日誌やタイムスタディ結果をもとに、営農現場における乳苗の 経営的効果を具体的に把握した。
- 乳苗の育苗様式及び作業工程上の特徴として、10a当たり苗箱数が少ないこと
(稚苗の60%)、床土の準備・箱詰め作業や育苗ハウスへの苗箱の搬出・展開、 ハウス管理作業が省略されるという点がある(図)。
- 乳苗の効果としては、次の3点がある(表)。
- 省力効果
苗箱数が少ないことや床土準備など手間のかかる作業が省略される ことから、10a当たり2.2時間省略化された。これは事例とした経営の春作業 (種子予措から補植まで)の約3割に相当する時間数である。
- 省資材・省空間効果
棚積みして育苗可能なことから、育苗ハウスやハウス用地が大幅に節約できる。
- 規模拡大促進効果
移植開始可能日が早くなる、移植作業が効率化される、苗の管理が容易に なるなどの利点により、春作業時の労働ピークが緩和され、規模拡大が容易 になる。
- その他
調査事例では、1991年度、同一団地、同一品種(あきたこまち)の稚苗移植の 単収に比較して乳苗は50kg/10a増収した。但しこれは、乳苗の出穂時期が数日 程度遅れたため低温による被害が少なかったことが影響している。したがって 、乳苗の収量水準への影響については、今後更に検討する必要がある。
- このような効果をもつ乳苗移植技術は、規模の大小を問わず稲作経営に適用
可能だが、特に移植適期幅の狭い地域で規模拡大を図ろうとする大規模経営 に効果的な技術である。また、育苗センターなど大規模育苗施設においては 、特にその導入効果が大きいと考えられる。
- 技術・情報の適用効果
乳苗導入によって期待できる多面的な効果が把握でき、導入の判断材料と なる。
- 適用の範囲
稲作経営、育苗センター。
- 普及指導上の留意点
本情報は、移植適期幅の狭い地域で大規模化した事例の研究によるもので、 秋作業に関してはなお余裕があることを想定している。
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図表1 |
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カテゴリ |
育苗
規模拡大
経営管理
省力化
大規模化
大規模経営
春作
品種
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