水稲の有機栽培・減農薬栽培・慣行栽培の比較LCA

タイトル 水稲の有機栽培・減農薬栽培・慣行栽培の比較LCA
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2006~2009
研究担当者 林清忠
佐藤正衛
外園信吾
発行年度 2009
要約 水稲の有機栽培・減農薬栽培・慣行栽培の環境影響をライフサイクルアセスメントによって事例ベースで比較すると、有機農業の環境影響が必ずしも小さくなく、技術改善によって単収向上が必要なことが示される。
キーワード ライフサイクルアセスメント(LCA)、有機栽培、減農薬栽培、地球温暖化、富栄養化
背景・ねらい 有機農業推進法の成立を契機として有機農業への取り組みが広まりつつある。しかしながら、その環境影響が、慣行栽培や減農薬栽培と比較してどの程度かについては十分な知見がないのが現状である。そこで、水稲を事例にとり、有機栽培・減農薬栽培・慣行栽培の間での環境影響をライフサイクルアセスメント(LCA)によって比較する。
成果の内容・特徴
  1. 実際の農業経営者(農業生産法人)の取り組みを元に、水稲の有機栽培・減農薬栽培(特別栽培)・慣行栽培を比較した成果である。この有機栽培の特徴は、米ぬか散布および機械による除草が行われていることである(表1)。これは、日本で現在最も取り組みの多い除草方法である。比較は、地球温暖化と富栄養化に関して実施した。環境影響を測る単位(機能単位)は、面積(10a)および生産物(kg)とした。
  2. 温室効果ガス排出量を面積当たりで比較すると、多い順で、慣行、有機、減農薬であり、生産物重量当たりで比較すると、有機、慣行、減農薬であった(図1)。面積あたりでも有機の方が減農薬よりも多い理由には、除草用機械の導入が関係している。また、排出量の内訳をみると、メタン(直接排出)がその半分以上を占めている。
  3. 富栄養化ポテンシャルを面積当たりで比較すると、多い順で、慣行、減農薬、有機であり、生産物重要当たりで比較すると、慣行、有機、減農薬であった(図2)。環境影響の大半は、リンに由来するものである。
  4. 両指標(影響領域)を用いた結果から、以下のことが指摘できる。有機農業の環境影響をより小さくするためには、低投入化(面積当たり環境影響の低下)だけではなく、高産出化(投入一定の下での生産物重量あたり環境影響の低下)が必要である。
成果の活用面・留意点
  1. 評価範囲は水稲生産までであり、消費や廃棄等は含まない。
  2. 機械除草は、有機水稲栽培において現在最も一般的な除草方法であると推定される。
  3. 産業連関表による環境負荷原単位データブック(3EID)、日本国温室効果ガスインベントリ報告書等を用いた。
  4. 有機農業のLCAについては、林(2008)日本LCA学会誌4(2): 112~118を参照。
図表1 233759-1.png
図表2 233759-2.png
図表3 233759-3.png
カテゴリ 有機農業 有機栽培 病害虫 経営管理 除草 水稲 農薬

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