タイトル |
バラ切り花の輸送に適した給水資材の開発 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所 |
研究期間 |
2006~2008 |
研究担当者 |
市村一雄
仁木朋子
湯本弘子
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発行年度 |
2009 |
要約 |
0.2%ゲランガムと標準濃度のMS無機塩を用いて調製したゲルはバラ切り花用の給水資材として優れている。ゲランガムゲルの性能を評価するには、ゲルを遠心ろ過ユニットで遠心し、遊離した水量を測定する方法が有用である。
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キーワード |
MS無機塩、給水資材、ゲランガム、バラ
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背景・ねらい |
バケット輸送をはじめとした湿式輸送は切り花の鮮度保持に優れている。しかし、輸出に利用される航空機輸送ではバケット輸送が原則として禁止されているため、品質保持剤と給水資材等を利用した品質保持技術の開発が必要である。そこで、ゲランガム製の給水資材を開発するため、異なる濃度のゲランガムと無機塩で調製したゲルがバラ切り花の花持ちに及ぼす影響を調査するとともに、ゲランガムゲル性能の評価法を開発する。さらに、バラ切り花を糖質と抗菌剤溶液で前処理後、ゲランガムゲルを給水資材とした輸送シミュレーションを行うことにより、給水資材の有用性を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 異なる濃度のゲランガムとMS無機塩で調製したゲルを用い、輸送シミュレーションを実施した結果、バラ切り花の花持ちは0.2%ゲランガムと標準濃度のMS無機塩を用いたときに最長となり(表1)、それ以外ではシミュレーション中にベントネック(花首が折れる現象)を起こす。また、切り花のゲルからの吸水量と切り花の新鮮重も花持ちが長いゲルほど多くなる傾向を示す。これらのことから、0.2%ゲランガムと標準濃度のMS無機塩で調製したゲルが最適であると判断される。
- 調製したゲランガムゲルを遠心ろ過ユニットに入れて遠心し、遊離した水量から給水能を評価する方法を考案した (図1)。遊離水量が多いゲルほどバラ切り花の吸水量は多くなる傾向を示し(図2)、遊離水量と吸水量との間には高い正の相関(r=0.89)が、また遊離水量と花持ちとの間にも比較的高い正の相関(r=0.76)が認められ、ゲランガムゲルからの遊離水量を測定する方法はゲルの給水能を評価するために有用であることが示唆される。
- バラ切り花を2%および4%スクロースと抗菌剤で2日間前処理し、0.2%ゲランガムと標準濃度のMS無機塩で調製したゲランガムゲルに挿して輸送シミュレーションを行ない、花持ちを調査した。スクロースと抗菌剤で前処理しない場合の花持ちは約3日であったが、前処理すると7日以上となり、著しく延長する(図3)。また、花径も増大し、新鮮重も増加する。
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成果の活用面・留意点 |
- バラ以外の品目についてゲランガムゲルを給水資材として利用するには、あらかじめ効果を確認することが必要である。
- 「ローテローゼ」切り花を用い、輸送シミュレーションは15℃で24時間実施した。切り花を保持する検定条件は23℃、相対湿度70%、PPFD 10μmol m-2 s-1、12時間日長の条件とした。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
ばら
評価法
品質保持
輸出
輸送
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