タイトル |
トルコギキョウ未受粉小花の花持ちの品種間差におけるエチレンの関与 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所 |
研究期間 |
2006~2008 |
研究担当者 |
湯本弘子
市村一雄
|
発行年度 |
2009 |
要約 |
トルコギキョウ未受粉小花の花持ちには著しい品種間差があり、これにはエチレンに対する感受性の差異が関与している。エチレンに対する感受性は相対花径の減少程度で評価することが可能である。
|
キーワード |
エチレン感受性、相対花径、トルコギキョウ、品種間差、未受粉
|
背景・ねらい |
トルコギキョウ切り花の常温での花持ちは1週間程度であるが、品種間差が存在する。受粉により花持ちが短縮するが、切り花の流通過程では柱頭に花粉がほとんど付着しない場合もみられる。そのような場合には、未受粉時の小花の花持ちが切り花の花持ちを決定するうえで重要な要因になる。そこで、トルコギキョウ切り花において、受粉しない場合の花持ちの品種間差に関与する要因を解明する。
|
成果の内容・特徴 |
- トルコギキョウ6品種における未受粉の小花の花持ちは10.4~18.6日までと著しい品種間差が存在する(表1)。
- 調査した6品種すべてにおいて、老化に伴い花からのエチレン生成量は増加するが(図1)、花弁が萎凋するまでの最大エチレン生成量と花持ち日数の間には有意な相関は認められない。
- トルコギキョウ切り花のエチレン感受性には著しい品種間差がある(表1)。収穫後の加齢に伴い、エチレン感受性が著しく上昇する品種と上昇が認められない品種が存在する。
- 小花へのエチレン処理により花は閉じた後、萎れに至るため、相対花径の減少程度からエチレンに対する感受性を経時的かつ定量的に評価することが可能である。
- エチレン処理後の相対花径で評価すると、どの品種においても収穫当日の小花では花径がいったん減少した後、増加する。これはエチレンによる老化誘導から回復することを示している。また、処理開始後1日目の相対花径の減少程度は、花持ちが短い品種のほうが長い品種よりも大きい傾向が認められる(図2)。
- 以上から、トルコギキョウ未受粉時の花持ちの品種間差には、エチレンに対する感受性の差異が関与していると結論される。
|
成果の活用面・留意点 |
- 相対花径は次式により算出される。
- 「あすかの波」はいずれの花齢においても、エチレン処理により相対花径が一度減少した後、増加することから、エチレンによる老化誘導から回復する性質が強い品種と判断される。
- 除雄した小花を23℃、相対湿度70%、PPFD 10μmol m-2 s-1、12時間日長の環境条件下で保持し、得られた結果である。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
カテゴリ |
受粉
トルコギキョウ
品種
|