タイトル |
カーネーション切り花の高温に対する反応 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 花き研究所 |
研究期間 |
2003~2007 |
研究担当者 |
渋谷健市
市村一雄
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発行年度 |
2009 |
要約 |
自己触媒的エチレン生成開始後のカーネーション切り花において、高温処理はエチレン生合成を阻害するが、花弁の萎れは抑制しない。
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キーワード |
エチレン、カーネーション、高温
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背景・ねらい |
カーネーション切り花を高温条件下で保持すると、自己触媒的エチレン生成が開始せず、花弁の萎れが抑制されることが報告されている。本研究では、高温による花弁の萎れ抑制作用について理解を深めるため、自己触媒的エチレン生成がすでに誘導されているカーネーション切り花において、高温がエチレン生成と花弁の萎れに及ぼす影響を解析する。
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成果の内容・特徴 |
- 外生エチレン処理により、エチレン生成を誘導したカーネーション「バーバラ」の切り花を、高温条件下(38℃)で保持すると、自己触媒的エチレン生成の増加が抑制される(図1)。
- 高温を処理した切り花の花弁(高温処理区)では、1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸(ACC)合成酵素とACC酸化酵素をコードするDC-ACS1とDC-ACO1の発現量が、対照区(23℃)に比べ低下している(図2)。
- 高温処理区では、ACC合成酵素とACC酸化酵素活性が低下しており、特にACC合成酵素活性が顕著に抑制されている(図3)。
- 花弁の萎れは、高温処理区でも対照区と同様に進行する(図4)。
- エチレン処理後23℃で12時間保持し、極大値のエチレン生成を誘導した切り花(図1)を、高温条件下に移すと、エチレン生成が顕著に抑制される(データ略)。これらの切り花の花弁では、DC-ACS1とDC-ACO1の発現量の低下はほとんど認められないが、ACC合成酵素活性が顕著に低下している(データ略)。
- 以上の結果は、高温処理は、自己触媒的エチレン生成開始後のカーネーション切り花においてもエチレン生合成を抑制するが、花弁の萎れは抑制しないことを示している。また、高温によるエチレン生合成の抑制は、主にACC合成酵素活性の阻害に因ることを示唆している。
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成果の活用面・留意点 |
- 品種により高温に対する反応性が異なることから、品種ごとに温度条件を検討する必要がある。
- 高温が花弁の萎れ以外の品質(花色等)に与える影響もさらに検討する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
カーネーション
ばら
品種
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