芳香性のイチゴ10倍体種間雑種品種「桃薫(とうくん)」

タイトル 芳香性のイチゴ10倍体種間雑種品種「桃薫(とうくん)」
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 野菜茶業研究所
研究期間 2004~2009
研究担当者 野口裕司
森下昌三
室 崇人
小島昭夫
坂田好輝
山田朋宏
杉山慶太
発行年度 2009
要約 イチゴ10倍体種間雑種品種「桃薫」の果実はモモ様の強い芳香を有する。果肉は柔らかいものの、淡黄橙で色の淡い果実は光沢があり外観が良好で、収量性にも優れる。新規の需要開発・拡大のためのイチゴ品種として利用できる。
キーワード イチゴ、香気成分、種間雑種、10倍体、Fragaria × ananassaF. nilgerrensis
背景・ねらい モモに類似した香りを有する複倍数性10倍体種間雑種イチゴ「久留米IH1号」は、家庭園芸用に苗が販売され、新潟県や茨城県の一部では営利栽培されている。しかし、収量が少なく、また、果面のつやが劣るなど外観は良好ではない。そこで収量性や果実品質を向上させた芳香性10倍体品種を育成する。
成果の内容・特徴
  1. 「桃薫」は、8倍体栽培種Fragaria × ananassa「カレンベリー」と2倍体野生種F. nilgerrensis雲南(ジーンバンク保存番号:2070017996)との交雑による5倍体を倍加処理した複倍数性10倍体種間雑種系統K58N7-21を種子親、「久留米IH1号」(「とよのか」×F. nilgerrensis 雲南)を花粉親とした交配次代である。
  2. 香気成分は、linalool(柑橘系の花様)や2-methylbutanoic acid(汗臭)が少なく、カラメル様(2,5-dimethyl-4-methoxy-2H-furan-3-one、2,5-dimethyl-4-hydroxy-2H- furan-3-one)、ココナッツ様(hexalactoneおよびoctalactone類)、モモ様(decalactoneおよびdodecalactone類)の香気成分が多い(表1)。官能的にもモモ様の香りを強く感じる。
  3. 極晩生であり年内収穫は困難であるが、栽培全期間の収量は多い(表2)。
  4. 果房内において、頂果(第1次果)は大きいが、第2次果、第3次果と高次になるにつれて果実は小さくなる。そのため、商品果平均1果重は「とよのか」並みである(表2)。
  5. 果皮色は淡黄橙で光沢があり、痩果の落ち込みが少ないため外観が優れる(表2、図1、2)。糖度、酸度ともに「久留米IH1号」よりも高く食味はやや良である(表2)。
成果の活用面・留意点
  1. 果皮色、香りの区別性を活かし、地域特産品用、贈答用、業務用、観光農園および家庭園芸用に利用できる。
  2. 果実全体が淡く着色した時期が収穫適期である。過熟では輸送性に乏しく、未熟では芳香性の特徴が発揮されず、また、食味も劣ることから、適期収穫を心がける。
図表1 233839-1.png
図表2 233839-2.png
図表3 233839-3.png
図表4 233839-4.png
カテゴリ いちご 品種 もも 輸送 良食味

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