宿主由来の遺伝子による除草剤耐性組換えトウモロコシ自殖系統「mALSMi29」

タイトル 宿主由来の遺伝子による除草剤耐性組換えトウモロコシ自殖系統「mALSMi29」
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2008~2009
研究担当者 高溝 正
堀田順子
清水 力
角康一郎
石田祐二
発行年度 2009
要約 トウモロコシからクローニングしたALS遺伝子に2点変異を施すことにより、ALS型除草剤に対して耐性となる。「mALSMi29」は、この遺伝子を国産自殖系統Mi29へアグロバクテリウム法により導入した遺伝子組換え体である。
キーワード 飼料作物育種、トウモロコシ、アグロバクテリウム、形質転換
背景・ねらい 除草剤耐性等新規有用形質を備えた組換えトウモロコシの開発のためには国産自殖系統を用いた形質転換系の確立が必須である。そこで、我が国で開発されたベクター、遺伝子を国産優良自殖トウモロコシ系統に導入する。
成果の内容・特徴
  1. トウモロコシ(自殖系統Na65)自身からアセト乳酸合成酵素(ALS)遺伝子をプロモーターとターミネーターごとクローニングした後、イネ等で除草剤耐性を起こさせることがわかっている2点変異を導入する(変異型ALS遺伝子、図1)。これにより、542番目のトリプトファンがロイシンに、621番目のセリンがイソロイシンに変わり、ALS型除草剤に対して耐性となる。
  2. この変異型ALS遺伝子を我が国で開発された形質転換効率の高いベクターに導入した後、アグロバクテリウムLBA4404に組み込み、国産トウモロコシ自殖系統Mi29の未熟胚に感染させて共存培養する。7~10日後に0.5μMのビスピリバックナトリウム(BS=ALS型除草剤の主成分)を含む培地に移して未熟胚由来耐性カルスを選抜する。1~2ヶ月後に耐性カルスを再分化培地に移すと組換え体が再生してくる(図2左)。組換え体は鉢上げ後、正常に生育し(図2中)、雌性雄性ともに稔性を有し自殖することにより種子が得られる(図2右)。形質転換体作出の効率は20~30%である。
  3. 組換え体における変異型ALS遺伝子の確認はPCR法等で、発現はin vivo assay法で確認できる(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 抗生物質耐性遺伝子ではない、宿主の作物自身から単離された選抜マーカー遺伝子によるトウモロコシ形質転換系が確立され、パブリックアクセプタンスを得られやすい組換えトウモロコシの開発に活用できる。
  2. 「mALSMi29」は今回開発した方法を有望F1品種の親である国産自殖系統Mi29に直接適用した例であり、作出した組換え体の導入遺伝子をホモ化することにより、ALS型除草剤耐性品種の作出が早期に可能である。
  3. 今回作出した組換え体の実用化のためには、導入遺伝子の挙動の詳しい解析等、食品、飼料、生物多様性に関するデータ取得が必要である。
図表1 233867-1.jpg
図表2 233867-2.jpg
図表3 233867-3.jpg
カテゴリ 病害虫 育種 除草剤 飼料作物 とうもろこし 品種

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