タイトル |
ウシグレリン受容体遺伝子の塩基多型とハプロタイプ |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所 |
研究期間 |
2006~2009 |
研究担当者 |
小松正憲
佐藤正寛
高橋秀彰
佐々木修
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発行年度 |
2009 |
要約 |
ウシグレリン受容体遺伝子全長(約6.3kb)には53箇所の塩基多型が存在し、19種類のハプロタイプを作る。これらの塩基多型の中で、5ヶ所の塩基多型は和牛の産肉形質に影響を及ぼす塩基変異部位の検索に有用なマーカーである。
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キーワード |
和牛、グレリン受容体遺伝子、塩基多型、挿入欠失、マイクロサテライト
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背景・ねらい |
グレリン受容体は成長ホルモン放出や摂食亢進など生体において重要な機能を担っている。黒毛和種半きょうだい家系のQTL連鎖解析から増体形質QTLの候補遺伝子のひとつと推定されたグレリン受容体遺伝子の塩基配列(全長約6.3kb)を解析し、その塩基多型の全容を明らかにする。さらに、これら塩基多型の変異の程度とハプロタイプならびに転写産物を検討し、和牛の産肉形質に影響を及ぼす塩基変異部位の検索に利用できるDNAマーカーを提案する。
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成果の内容・特徴 |
- 黒毛和種等和牛3品種、ホルスタイン、フィリピン在来牛等ウシ11品種26頭のゲノムDNAを用いて明らかにしたグレリン受容体遺伝子全長(5'-フランキング領域~3'UTRまで約6.3kb)の塩基多型の全貌である(図1(a))。
- 本遺伝子領域には、47箇所の1塩基多型(SNPs)、4箇所の挿入欠失(indels)および5'-UTRとイントロン1領域にあるマイクロサテライト(MS)の変異が存在する。
- これらの塩基多型は19種類のハプロタイプを形成し、これらのハプロタイプは系統樹解析からtaurus系2グループ、indicus系1グループの計3グループに大別できる。
- エキソン1には、L24V, nt456(G>A), D191N, nt667(C>T)の4箇所のSNPsと3塩基欠失(DelR242)の塩基多型が存在する。
- DelR242遺伝子は日本短角種(頻度:約0.44)、褐毛和種、ホルスタイン種を含むヨーロッパ系牛5品種、フィリピン在来牛に認められるが、黒毛和種と見島牛には認められない(表1)。
- グレリン受容体分子が主に発現する弓状核全RNAを用いた5'-RACE等の転写解析から、本遺伝子の転写産物には5'-UTR中にMSを含む領域(256bp前後)をスプライスアウトする1a型と、これらをスプライスアウトしない1b型の2種類がある(図1(b))。
- 塩基多型のうち、nt-7(C>A)、 L24V、DelR242および 5'UTRとイントロン1領域のMS(TG)n、MS(GTTT)nの5つの塩基多型は、和牛の産肉形質に影響を及ぼすQTN候補領域検索DNAマーカーとして有用である。
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成果の活用面・留意点 |
- L24VとDelR242座位のアリル頻度には品種間差異があるので、解析に際してはあらかじめアリル頻度を把握する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
DNAマーカー
品種
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