抗プリオンタンパク質モノクローナル抗体の開発と単鎖型抗体の作出

タイトル 抗プリオンタンパク質モノクローナル抗体の開発と単鎖型抗体の作出
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 動物衛生研究所
研究期間 2003~2007
研究担当者 田川裕一
清水善久
牛木祐子
岩丸祥史
村本 環
北本哲之
横山 隆
毛利資郎
発行年度 2009
要約 モノクローナル抗体T1およびT2は異常プリオンタンパク質の検出に有用であり、T2は牛海綿状脳症のスクリーニング検査キットや確定診断に活用できる。単鎖型T2抗体はプリオン増殖抑制効果を示し、プリオン病防除技術の研究に有用である。
キーワード プリオンタンパク質、モノクローナル抗体、単鎖型抗体
背景・ねらい プリオンタンパク質(PrP)と特異的に結合できる抗体は、プリオン病の診断や防除技術の高度化を進展させていく上で有用である。プリオン病罹患動物において異常プリオンタンパク質(PrPSc)を免疫学的に検出する診断技術の改良やプリオン増殖抑制作用をもつ抗体を利用した治療技術の開発を目指して、PrPに対する新規モノクローナル抗体(mAb)を開発するとともに、抗体遺伝子をクローニングして単鎖型抗体の作出を行う。
成果の内容・特徴
  1. PrP遺伝子ノックアウトマウスを組換えマウスPrPで免疫することにより、抗PrP mAbを効率よく作出できる。
  2. 作出した2種類のmAb(T1およびT2)はいずれもマウス、ハムスター、ヒツジ、ウシ、シカ、ヒトの全てのPrPと反応し、PrPScの免疫学的検出に利用できる(図1)。
  3. T2はプリオン持続感染細胞(ScN2a)培養への添加により、極めて高いプリオン増殖抑制効果を示す(50%阻止濃度: 0.02μg/ml)(図2)。
  4. T2はハイブリドーマ細胞から抗体遺伝子可変領域をクローニングして、単鎖型可変領域フラグメント(scFv)抗体として発現することが可能である(図3)。
  5. scFv化した抗体遺伝子はサイズが小さくなるため、遺伝子操作が容易となる。動物細胞発現用ベクターを用いた遺伝子導入によって樹立したscFv T2抗体安定産生神経芽腫細胞とScN2a細胞の共培養において、プリオン増殖抑制効果が観察される(図4)。
成果の活用面・留意点
  1. T2は日本で開発された牛海綿状脳症診断用ELISAキットに利用されており、わが国の牛海綿状脳症確定診断に用いられる抗体の一つとして採用されている。作出されたmAbはさまざまな動物種のPrPと反応することから、プリオン病研究の資材として有用である。
  2. 試験管内の実験であるが、T2はプリオン増殖を既存抗体と同等以上に抑制する。そのscFv抗体にもプリオン増殖抑制効果が認められるので、抗体遺伝子を活用してプリオン病防除技術を検討するための有用な研究資材となりうる。
図表1 233938-1.png
図表2 233938-2.png
図表3 233938-3.png
図表4 233938-4.png
カテゴリ 病害虫 シカ 診断技術 治療技術 防除

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