水熱前処理における高消化性ソルガムbmr株の有用性

タイトル 水熱前処理における高消化性ソルガムbmr株の有用性
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究期間 2008~2009
研究担当者 金子 哲
我有 満
高井智之
水野亮二
一ノ瀬仁美
前原智子
発行年度 2009
要約 高消化性ソルガムであるbmr株は、天然型より低温度の水熱処理で充分な糖化が得られることから、前処理コストを削減可能であるとともに、発酵阻害物質であるフラン化合物の生成抑制効果も期待できる。
キーワード ソルガム、高消化性ソルガム(brown mid rib (bmr))、水熱処理
背景・ねらい ソルガム、イナワラなどのリグノセルロース系バイオマスは、未処理の状態では、バイオマスに含まれるリグニン等の影響により繊維分の50%以上が糖化されずに残る。この問題を解決するために、多くの前処理法が開発されている。しかしながら、材料の特性と前処理の関係を明らかにした研究は殆ど行われていない。そこで、リグニン合成酵素遺伝子に変異があり、未処理の状態においても糖化性に優位性を示すソルガムbmr株を材料として、水熱前処理におけるバイオマスの品種特性を評価する。
成果の内容・特徴
  1. ソルガムbmr株(九州交4号)と天然株(SIL-05)のディスクミル破砕物を水分含量70%(w/w)に調整し、水熱前処理すると、各々のソルガムのヘミセルロース含量が減少し、可溶性成分が増える。水熱処理温度が上昇するとその傾向はより顕著に現れる(表1)。
  2. 市販セルラーゼ、ヘミセルラーゼ混合酵素液を用いて、水熱前処理したソルガムの最大酵素糖化率を評価すると、200℃の水熱処理では、両ソルガムとも95%以上の非常に高い糖化率が得られるが、180℃の水熱処理では、天然型ソルガム(SIL-05)の糖化率が著しく低下し、約74%となるのに対し、bmr株(九州交4号)では90%以上の糖化率が得られる(図1)。
  3. 本法はソルガムの水分含量を変化させずに水熱処理を行うものであり、余計な水分を加えることなく高い糖化率を得られることから、バイオマスの加熱に要する熱量を最小限に抑えることができる。また、余計な水分の使用を抑えることから、廃液処理等のコストを低減することが可能である。
  4. ソルガムbmr株を用いれば、天然型ソルガムを使用した場合より、低温な水熱処理でも前処理効果が高いため、加熱に要するエネルギーと前処理コストを削減できる。
成果の活用面・留意点
  1. 一般的に水熱前処理においては、処理温度が高温になるほど糖の回収率が落ち、発酵阻害物質であるフラン化合物の生成が促進されるが、bmr株は、よりマイルドな条件での処理が可能であり、この様な水熱処理の問題点を回避できる可能性がある。
図表1 234011-1.png
図表2 234011-2.png
カテゴリ コスト ソルガム 品種

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