食品微生物挙動データベースの開発

タイトル 食品微生物挙動データベースの開発
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
研究期間 2007~2009
研究担当者 小関 成樹
発行年度 2009
要約 食品産業界で食品製造や衛生管理に広く利用できる、食中毒菌および腐敗菌を含む29種類の菌種、18種類の食品群における細菌の増殖する/しない環境条件(温度、pH、水分活性)と、増殖速度の情報を一括して検索可能とした微生物挙動に関するデータベースMRV(Microbial Responses Viewer)を開発した。
キーワード 微生物増殖、死滅、予測微生物学
背景・ねらい 食品業界において、微生物制御は極めて重要な課題の一つである。特に衛生管理の定量性、客観性が重要となってきている。加工食品の製造・流通条件の設定においては、細菌を増殖させない条件設定が求めることが多く、増殖曲線を得ることよりもむしろ環境条件の組合せによって対象とする細菌を増殖させないための条件を見出すことが重要である。対象とする細菌の増殖/非増殖条件を検索可能とするデータベースが多くの食品企業にとって重要な役割を果たすことが予想される。そこで、本研究では細菌の増殖/非増殖データを既存の国際予測微生物データベースComBase(コンベース、http://www.combase.cc/)に収録されているデータから抽出して、食品産業界が要望しているデータを容易に検索可能とする新たな微生物挙動デーベースを開発することを目的とする。
成果の内容・特徴
  1. 開発したデータベースMRV (http://mrv.nfri.affrc.go.jp/)では、種々の環境条件(温度、pH、水分活性)における各種細菌の増殖(●)/非増殖(●)データに加えて、対象となる細菌の増殖速度の情報を数理モデル化して等高線化したグラフを表現し、増殖/非増殖グラフと一体化した。これによって温度、pH、水分活性の各要因の組合せにおける増殖/非増殖条件を検索可能とするだけでなく、増殖の速さ(速度)に関する情報も同時に検索可能である(図1)。
  2. 食品の種類毎に増殖/非増殖データが検索可能としただけでなく、増殖速度を他の食品あるいは他の菌種と比較検討することも可能である(図2)。
  3. 食中毒菌および腐敗菌を含む29種類の菌種、18種類の食品群における各種微生物挙動データ約3万件に容易にアクセスでき、網羅的な検索も可能である。
成果の活用面・留意点
  1. 食品産業において、データベースによる情報共有や予測モデルを活用した定量的な衛生管理を広く実施することで、無駄のない的確な消費・賞味期限の設定が可能となる。さらに、商品開発においては予測モデルを活用することで、材料処方から流通条件に至る製品設計を飛躍的に効率化することができ、開発コストの低減が期待される。
  2. 食品産業界において微生物挙動に関する情報を共有することは、業界全体として安全性を確保していく上で極めて重要である。従来は文献情報による共有が限界であったが、本研究によって開発したMRVによって、効率的な情報共有が可能となる。
  3. 本データベースは試験研究結果を元にして、数理モデルを構築してデータを提供しているため、実際に検索データを参照して食品の設計、製造、流通に反映させる際には事前に試験を行い検証することが必要不可欠である。
図表1 234016-1.png
図表2 234016-2.png
カテゴリ 加工 コスト データベース

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