タイトル |
北海道向き極良食味・多収水稲新品種候補系統「北海302号」 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター |
研究期間 |
1998~2009 |
研究担当者 |
清水博之
横上晴郁
松葉修一
黒木 慎
安東郁男
荒木 均
三浦清之
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発行年度 |
2009 |
要約 |
「北海302号」は北海道での熟期が"中生の早"に属する極良食味米系統である。食味と収量性は「ほしのゆめ」を大きく上回る。アミロースおよびタンパク質含有率は「ほしのゆめ」より低い。アミロース含有率の年次間変動は低アミロース米より小さい。
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キーワード |
イネ、多収、極良食味、アミロース含有率、タンパク質含有率
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背景・ねらい |
「ほしのゆめ」は北海道米としては食味が良いが、「コシヒカリ」に比較するとやや劣る。また「ななつぼし」に比較して粒厚が薄く収量は少ない。近年育成された「おぼろづき」「ゆめぴりか」は「コシヒカリ」に匹敵する食味であるが、アミロース含有率の年次間変動が大きく食味・品質の安定性にやや難がある。そこで、「おぼろづき」「ゆめぴりか」並の食味で、アミロース含有率の年次間変動が少ない極良食味多収品種を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 水稲「北海302号」は、低タンパク・耐冷性極強系統「札系97100」(後の「北海PL9」)と耐冷性が強く食味の良い「空育160号」との交雑後代より育成されたうるち種の系統である(表1)。
- 育成地での出穂期および成熟期は「ほしのゆめ」と同程度で、"中生の早"に属する(表1)。
- 玄米収量は「ほしのゆめ」より10%前後多収である(表1)。
- 穂ばらみ期耐冷性は「ほしのゆめ」並の"強"で、「ゆめぴりか」より強い(表1)。
- いもち病真性抵抗性遺伝子型は"Pia, Pii, Pik"と推定され、いもち病圃場抵抗性は、葉いもちは"弱"、穂いもちは"やや弱"であり、どちらも「ほしのゆめ」並である(表1)。
- 葉鞘褐変、褐変穂の発生は「ほしのゆめ」より多い(表1)。
- 白米タンパク質含有率は「ほしのゆめ」「ななつぼし」「ゆめぴりか」より低い(表1)。
- 白米アミロース含有率は「ほしのゆめ」「ななつぼし」よりやや低く、「ゆめぴりか」よりやや高い(表1)。
- 炊飯米の食味総合評価は「ほしのゆめ」「ななつぼし」に優り、「ゆめぴりか」とほぼ同等である(図1)。
- 炊飯米の白さは「ほしのゆめ」「ななつぼし」「ゆめぴりか」に優る(図1)。
- アミロース含有率の年次間変動は「ゆめぴりか」「おぼろづき」より小さく、「ほしのゆめ」「ななつぼし」に近い(図2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本系統の普及の可能性を明らかにする目的で大規模な試作を行う必要があるので、権利確保のための品種登録出願を行う。
- 葉鞘褐変および褐変穂の発生が多いため、褐変の発生の多い圃場での栽培は避ける。
- いもち病抵抗性は十分ではないので、適正な防除に努める。
- 耐倒伏性は強くないので、極端な多肥栽培は避ける。
- 種子の入手および増殖・採種方法に関しては、育成機関に問い合わせる必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
いもち病
新品種
水稲
抵抗性
抵抗性遺伝子
品種
防除
良食味
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