米粉向け水稲品種「ほしのこ(北海303号)」の粉質性に関する選抜DNAマーカー

タイトル 米粉向け水稲品種「ほしのこ(北海303号)」の粉質性に関する選抜DNAマーカー
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター
研究期間 2006~2009
研究担当者 松葉修一
船附稚子
黒木 慎
横上晴郁
清水博之
発行年度 2009
要約 粉質性を備えた水稲品種「北海303号」では、第5染色体上の粉質性に関わるflo4座にコードされるPPDK遺伝子に挿入変異が認められる。この挿入変異を識別するDNAマーカーによって、粉質性後代の簡便な選抜が可能である。
キーワード 水稲、米粉、粉質米、北海303号、DNAマーカー、flo4、PPDK
背景・ねらい わが国の食料自給率向上対策として、非主食用米の新たな用途拡大を通じた米の消費増大が求められており、特に小麦粉を代替できる米粉としての利用拡大が期待されている。北海道農研では、米粒が砕けやすく粉になりやすい粉質性を備えた米粉向け水稲品種「北海303号」を「ほしのゆめ」のγ線照射による突然変異誘発集団から選抜・育成したが、その粉質性を備えた後継品種の育種においては、幼苗期でも選抜作業が行える理由等からDNAマーカーの利用が効率的である。そこで、「北海303号」が備える粉質性に関する原因遺伝子領域の解析を進めるとともに、選抜DNAマーカーの開発を行う。
成果の内容・特徴
  1. 「北海303号」×「CORBETTI」(イタリアの水稲品種)のF2集団94個体の粉質性の分離比は1:2:1の期待値に適合し、粉質性は単因子劣性遺伝である(表1,図1)。
  2. 第5染色体に座乗し、粉質性に関わる既知のflo4座にコードされるPPDK遺伝子について、その塩基配列を「ほしのゆめ」と「北海303号」とで比較すると、「北海303号」では第8エクソンに「CA」の2塩基の挿入が認められる。制限酵素SexAIを用いるCAPSマーカー、303Bはその2塩基の挿入を識別し、PPDK遺伝子の「野生型(ほしのゆめ型)」と「変異型(北海303号型)」を判別することができる(図2)。
  3. 「北海303号」×「CORBETTI」のF2集団94個体、および「初雫」×「北海303号」F5雑種集団100個体において303Bマーカーで判別される3つのタイプの遺伝子型と粉質性が完全に一致する(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. 本研究で開発されたDNAマーカーは、「北海303号」を供与親とした粉質米のマーカー育種に利用可能である。とりわけ米粒が粉質米と同様に白濁する低アミロース性を備えた粉質米を選抜する場合には特に有効である。
  2. PPDK遺伝子の機能と粉質米形成との関連については未解明である。
図表1 234058-1.png
図表2 234058-2.png
図表3 234058-3.png
図表4 234058-4.png
カテゴリ 育種 小麦 水稲 DNAマーカー 品種

こんにちは!お手伝いします。

メッセージを送信する

こんにちは!お手伝いします。

リサちゃんに問い合わせる