キャベツ等の可食部カドミウム濃度推定に塩化カルシウム土壌抽出法が適する

タイトル キャベツ等の可食部カドミウム濃度推定に塩化カルシウム土壌抽出法が適する
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2007~2009
研究担当者 戸上和樹
吉住佳与
三浦憲蔵
工藤一晃
発行年度 2009
要約 キャベツ、ハクサイ、ブロッコリー、レタス、エダマメ可食部カドミウム濃度は、土壌pHによって変動する。可食部カドミウム濃度推定には、土壌pHに関わりなく、塩化カルシウムによる土壌抽出法が適している。
キーワード カドミウム、キャベツ、ハクサイ、ブロッコリー、レタス、エダマメ、塩化カルシウム抽出法
背景・ねらい FAO/WHO合同食品規格委員会(Codex委員会)による野菜の可食部カドミウム(Cd)濃度の国際基準値の設定を受け、国内基準値の策定に向けて検討が進められている。そこで、可食部Cd濃度を作付前に予測して対策を要する農地を判定する技術の開発が必要である。可食部Cd濃度推定のための土壌抽出法はこれまで多数提案されてきたが、可食部Cd濃度は、栽培土壌pHに影響される可能性があるため、土壌pHによる可食部Cd濃度の変動に対応できる土壌抽出法を選定する。
成果の内容・特徴
  1. 土壌pHを調整したキャベツのポット栽培試験の結果、可食部Cd濃度は、土壌pHが高いと低下する(図1)。ハクサイ、ブロッコリー、レタス、エダマメについても、土壌pHの上昇により可食部Cd濃度が低下し、栽培土壌pHの違いは可食部Cd濃度に影響する。
  2. 土壌pHの違いに対応可能な土壌抽出法を選定するため、表1に示す9種類の土壌抽出法による可食部Cd濃度の実測値と予測値の差の変動を以下の手順で比較する。1)目標pH6.2(エダマメはpH6.5)の可食部Cd濃度と栽培跡地の土壌抽出Cd濃度との間の回帰式を用いて、他の目標pHにおける土壌抽出Cd濃度から可食部Cd濃度の予測値を求める。2)各pHで実測値と予測値の差の平均(d)とその標準偏差(SD)から95%一致限界(d±1.96SD)を計算する。
  3. キャベツ、ハクサイ、ブロッコリー、レタス、エダマメでは、0.05MCaCl2、および0.05MCa(NO3)2抽出法の一致限界が狭く、土壌pH変化に対する予測精度は高い(図2)。
  4. 土壌抽出液中のCd濃度が低いと分析誤差が大きくなるため、抽出液中のCd濃度は高い方が望ましい。土壌抽出液中のCd濃度の平均は、0.05MCaCl2抽出法で0.07、0.05MCa(NO3)2抽出法で0.04mg/kgとなり、0.05MCaCl2抽出法が可食部Cd濃度推定に適している。
  5. キャベツの例のように、0.05MCaCl2抽出法の場合、目標pH6.2の回帰式から求めた可食部Cd濃度の予測値は、他の目標pH5.8と6.5における実測値と総じて一致する(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. ポット栽培試験は、現地圃場から採取したCd濃度0.1~4.0mg/kgの土壌9点(エダマメ10点)を供試し、苦土石灰もしくは硫酸を使用して、pH5.8、6.2、6.5の3段階(エダマメは6.0と6.5の2段階)に設定した。
図表1 234094-1.png
図表2 234094-2.png
図表3 234094-3.png
図表4 234094-4.png
カテゴリ 肥料 えだまめ キャベツ はくさい ブロッコリー レタス

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