無菌栽培では幼植物の生育や窒素吸収量へのPEONの効果は見られない

タイトル 無菌栽培では幼植物の生育や窒素吸収量へのPEONの効果は見られない
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 東北農業研究センター
研究期間 2004~2005
研究担当者 宮沢佳恵
村山 徹
武田容枝
発行年度 2009
要約 PEON (phosphate buffer extractable organic nitrogen) を添加した培地で、PEON吸収能力が異なるといわれているリーフレタスとチンゲンサイを無菌条件で栽培しても、生育や窒素吸収量に対するPEONの効果はいずれも幼植物においては見られない。
キーワード 有機態窒素、リン酸緩衝液抽出、直接吸収、PEON、幼植物
背景・ねらい 土壌中には約8000Daの分子量を持つ有機物画分PEONが蓄積しており、これを窒素源として植物が直接吸収し利用できる可能性があるとの知見が示され話題を呼んでいる。そこで、PEON吸収能力が異なるといわれているリーフレタス(吸収能力低)とチンゲンサイ(吸収能力高)を供試植物とし、PEONを添加した培地で無菌栽培することで、PEONが微生物による分解を経ずに、直接吸収され窒素源として効果を示すかどうかを確認する。他の窒素源と比較するために、無機態窒素として硝酸塩、および有機態窒素として植物による吸収利用が報告されているアミノ酸それぞれの添加処理を設け、植物の生育と窒素吸収量を調査する。
成果の内容・特徴
  1. 無菌条件で窒素源として硝酸塩、アミノ酸、またはPEONを添加した培地で2週間(播種後0~14日)栽培を行うと、リーフレタスの生育は、地上部、根ともに硝酸塩の添加で増加し、チンゲンサイでは硝酸塩とアミノ酸でそれぞれ増加する。しかし、PEON添加ではチンゲンサイ、リーフレタスとも生育は増加しない(図1)。
  2. リーフレタスの窒素吸収量は硝酸塩の添加で増加し、チンゲンサイでは硝酸塩とアミノ酸でそれぞれ増加する。しかし、PEON添加ではチンゲンサイ、リーフレタスとも窒素吸収量は増加しない(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 添加したPEONは、黒ボク土(pH5.7、炭素含有量5.14%、窒素含有量0.37%)から中性リン酸緩衝液で抽出し、エバポレーターで濃縮後、ゲルろ過分取カラムで分取し、脱塩したものである。
  2. 無菌栽培で添加したアミノ酸は、PEONのアミノ酸組成に合わせて15種類のアミノ酸を混合して作成したものである。
  3. バーミキュライトへ添加したPEONの水抽出による回収率は約90%であり、PEONのバーミキュライトへの著しい吸着は認められない。
図表1 234095-1.png
図表2 234095-2.png
カテゴリ 肥料 チンゲンサイ 播種 リーフレタス

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