日本のタバココナジラミ集団の分布域と主要在来集団の簡易識別法

タイトル 日本のタバココナジラミ集団の分布域と主要在来集団の簡易識別法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2005~2009
研究担当者 上田重文
貴島圭介
北村登史雄
本多健一郎
上宮健吉
岡崎真一郎
大貫正俊
発行年度 2009
要約 従来法とバイオタイプJpLとNauruの簡易識別法を併用することで、日本に分布するタバココナジラミは、2侵入集団(バイオタイプB、バイオタイプQ)と2在来集団(バイオタイプJpL、バイオタイプNauru)の4集団が識別できる。
キーワード タバココナジラミ、バイオタイプ、在来集団、COI、国内分布
背景・ねらい タバココナジラミ(Bemisia tabaci)は世界中に広く分布する害虫である。本種は寄主特異性、エステラーゼプロファイル、分子マーカーを利用する解析法等に基づいて、少なくとも20以上のバイオタイプに区分される(Perring 2001)。複数のバイオタイプは、ベイズ法を用いた系統解析により12の遺伝集団(集団)に整理される(Boykin et al. 2007)。しかし、本種の国内での生息分布等に関する知見は極めて乏しく、適切な防除を行うにはこうした知見を蓄積することが重要である。そこで、国内各地で採集したタバココナジラミ個体群の遺伝子を利用した系統解析を行い、集団の分布を把握する。また、新たに同定した主要な2つの在来集団に対してPCR法を用いた簡便な識別法を確立する。
成果の内容・特徴
  1. 2004年から2008年に採集したタバココナジラミ個体群を対象にして、ミトコンドリアチトクロームオキシダーゼI (mtCOI)遺伝子配列を用いてベイズ法により系統解析を行う。その結果、日本には2つの侵入集団(バイオタイプB、バイオタイプQ)が広く分布するだけでなく、4つの在来集団(バイオタイプJpL、バイオタイプNauru、中国型、アジアⅠ型)の計6集団が確認される。
  2. 主要な在来集団として九州以北ではJpL、南西諸島以南ではNauruが広範囲に分布する。JpLはスイカズラ、トマト、ナス、シソ、Nauruは主にサツマイモ、他にインゲン、ナス、ピーマン等から採集される。
  3. 主要な在来2集団(JpL、Nauru)は、mtCOI遺伝子内のグループ特異的配列を利用したPCR法により増幅する約640bp(JpL)、約500bp(Nauru)の特異的な各DNA産物をアガロースゲル電気泳動法で確認することにより簡便に識別できる。
成果の活用面・留意点
  1. タバココナジラミからの核酸抽出及びPCR法は、Frohlich et al.(1999)、上田(2006)等の方法に準じて行う。
  2. 本識別法とバイオタイプQに対する識別法(上田, 2006)を併用することにより国内で確認される主要な4集団(バイオタイプQ、B、JpL、Nauru)の簡易識別は可能である。中国型、アジアⅠ型(該当するバイオタイプ名不明)の識別が必要な場合には、mtCOI配列を解析する。
  3. mtCOI塩基配列データは、DDBJ/EMBL/GenBankデータベースから取得できる(アクセッション番号AB308110-AB308129、AB440783-AB440792)。
図表1 234154-1.png
図表2 234154-2.png
カテゴリ 病害虫 害虫 しそ タバココナジラミ データベース トマト なす ピーマン 防除

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