サツマイモ塊根の糖質含量の制御に関与する転写因子SRF1

タイトル サツマイモ塊根の糖質含量の制御に関与する転写因子SRF1
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 九州沖縄農業研究センター
研究期間 2004~2009
研究担当者 田中 勝
中山博貴
高畑康浩
発行年度 2009
要約 サツマイモの遺伝子SRF1はDof型の転写因子をコードする。SRF1を過剰発現するサツマイモ形質転換体(品種「高系14号」)の塊根では、遊離のグルコースおよびフラクトースの含量が低下するとともに、デンプン含量が増加する。
キーワード サツマイモ、塊根、糖代謝、デンプン、分子育種
背景・ねらい サツマイモの塊根には、デンプンや遊離糖類などの糖質が蓄積されている。しかし、これまでのところ、糖質の含量の制御に関する分子レベルでの知見は限られている。一方、他の植物における研究から、細胞内におけるショ糖の利用に関与する2つの酵素であるインベルターゼとショ糖合成酵素の活性のバランスが貯蔵器官における糖質含量の制御に重要な役割を果たすことが知られている。ここでは、Dof型の転写因子SRF1を過剰発現するサツマイモの形質転換体について遺伝子発現や糖質含量を調査し、塊根の糖質含量の制御へのSRF1の関与を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. サツマイモの遺伝子SRF1はDof型のジンクフィンガードメインを持ち、497アミノ酸からなる転写因子をコードする(図1)。
  2. SRF1を過剰発現するサツマイモ形質転換体(品種「高系14号」)では、3個ある液胞型インベルターゼ遺伝子の1つであるIbβfruct2の塊根での発現が非形質転換体の15~25%程度に減少し、液胞型インベルターゼの活性も35%程度に減少する(図2)。
  3. SRF1を過剰発現する形質転換体では、塊根のデンプン含量が非形質転換体の1.2倍程度に増加する。一方、遊離のグルコースおよびフラクトースの含量は非形質転換体に比べて30%以下に低下する(表1)。
  4. 以上の結果は、SRF1が液胞型インベルターゼの活性の転写レベルでの調節を介して、塊根の糖質含量の制御に関与することを示唆している(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. サツマイモの糖代謝の分子育種のための基礎的資料となる。
  2. 転写因子は、遺伝子の転写調節領域に結合し、遺伝情報のRNAへの転写を促進または抑制するタンパク質因子のことである。
  3. SRF1遺伝子の塩基配列はDDBJ/GenBank/EMBLデータベースに登録済みである(アクセション番号はAB469355)。
図表1 234161-1.png
図表2 234161-2.png
図表3 234161-3.png
図表4 234161-4.png
カテゴリ 育種 データベース 品種

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