タイトル |
乾燥促進効果の高い自脱コンバイン用排わら圧砕処理装置 |
担当機関 |
(独)農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター |
研究期間 |
2007~2009 |
研究担当者 |
梅田直円
栗原英治
川瀬公嗣
日高靖之
野田崇啓
横江未央
橘 保宏
川出哲生
志藤博克
中山夏希
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発行年度 |
2009 |
要約 |
自脱コンバインに搭載可能な排わら圧砕処理装置。圧砕処理は、収穫作業と同時工程で施され、稈を圧砕することにより自脱コンバインから無切断で排出された排わらより高い乾燥促進効果が得られる。
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キーワード |
自脱コンバイン、圧砕処理、排わら、乾燥促進、バイオエタノール
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背景・ねらい |
稲わらは全国に未利用資源として賦存しており、バイオエタノールの原料として注目されている。コンバインで収穫した場合には、排わらはほ場に広く分散し、かさ密度が低いため、ほ場で予乾し高密度で収集・梱包するのが有効である。しかし、収穫後の天候によっては予乾に日数がかかり、収集・梱包が遅れてしまうことがある。また、排わらをバイオ燃料の原料として利用するためには安価に供給する必要がある。低コストな収集システムを構築するには、日本で広く普及している自脱コンバインを基軸とすることが有効である。そこで、自脱コンバインに搭載可能で、排わらのほ場乾燥を促進する排わら処理装置を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- スクリュ式圧砕方式で、処理歯の付いたスクリュ、コンケーブ、抵抗板等から構成されている自脱コンバイン用排わら圧砕処理装置(排わら処理装置)である。排わらカッタに替えて搭載可能であり(図1)、圧砕処理は穀粒の収穫と同時工程で施される。自脱コンバインから排出された排わらは、姿勢を変えることなく本装置に供給され、スクリュとコンケーブによる摩擦と処理歯による打撃によって圧砕される。圧砕された排わらは、処理歯によってコンバイン機体の後方へ投げ出される。処理室内のわら量が過剰になると抵抗板が開き、わらのスクリュへの巻き付きを防ぎ詰まりを防止する(図2)。
- 圧砕処理された排わらは、稈が数カ所で折れ曲がり、押しつぶされる(図3)。また、放出された排わらは、空隙を持った状態で、ほ場に均一な厚さで堆積する。
- 降雨がなかった場合、圧砕処理区の排わらは、ほ場乾燥によって3日程度でわら水分15%程度となり、自脱コンバインから無切断で排出された排わら(無処理区)より乾燥が早い(図4a)。
- 2日間で15mm程度の降雨があった場合、降雨終了直後のわら水分は80%程度と一時的に上昇するが、1日程度経過した後のわら水分は、圧砕処理区45%、無処理区55%と低下する。降雨等によって一時的に排わらは水分を含むものの圧砕処理区の方が速やかな乾燥が促される(図4b)。
- 排わら処理装置は、作業速度約0.6m/s時で所要動力は約2.1kW程度必要であるが、排わらカッタを装着した場合と同程度の作業速度で作業可能である。
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成果の活用面・留意点 |
- 圧砕された排わらは、ほ場で均一に分散し切断することなく相互に絡み合っていることから、汎用型飼料収穫機による収集が容易である。
- 市販のロールベーラで収集する場合には、レーキ等による集草が必要である。
- 倒伏等によって稲わらの供給姿勢が悪い時には、詰まりが生じる場合がある。
- 2条刈り自脱コンバインでの成果であり,多条刈りコンバインに適用する場合には諸元を検討する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
乾燥
シカ
収穫機
低コスト
未利用資源
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