タイトル | 海面クロロフィルa濃度変動の時空間スケール |
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担当機関 | (独)水産総合研究センター 中央水産研究所 |
研究期間 | 2006~2010 |
研究担当者 |
亀田卓彦 瀬藤 聡 清水 学 黒田 寛 |
発行年度 | 2009 |
要約 | 人工衛星で観測された海面クロロフィルa濃度は現時点で唯一利用可能な広範囲、高頻度に観測されている生物データである。最適内挿法を用いて欠測域を補間するために必要な海面クロロフィルa濃度変動の時空間スケールを求めた。 |
背景・ねらい | 人工衛星による海洋のリモートセンシングは広範囲、高頻度のモニタリングが可能であるという特徴を持つ。様々な観測項目のうち海面クロロフィルa濃度は、現時点ではリモートセンシングにより観測可能な唯一の生物データとして、生物生産や炭素循環といった分野において利用されている。しかし、海面クロロフィルa濃度を観測するための海色センサは可視光を利用しているため、夜間の観測は不可能であり、また雲がかかっている海域は欠測となる。これらの欠測域を補間したデータが求められている。 |
成果の内容・特徴 | 海面水温や海面高度のデータの欠測域を補間するために最適内挿法が用いられている。この方法を用いるために必要な統計値である相関スケールを海面クロロフィルa濃度について求めた。 海色センサSea WiFSにより1998年から2007年に観測された海面クロロフィルa濃度から気候値 (10年平均) と標準偏差を作成した (図1)。このデータを基に求めた、変動の空間スケールを表す相関楕円は南北とも沖合いほど大きく縁辺海ほど小さく、145°E以東に限ると、相関楕円の東西は20°N付近より40°N付近の方が長かった (図2)。相関楕円は、太平洋では概ね東西に扁平しており、特に黒潮と日本海側で東西に大きく扁平している海域があった。また、日本海北部・オホーツク海・東北沖の一部では南北に扁平していた (図3)。変動の時間スケールである相関スケールは平均値、標準偏差のパターンと極めて類似していた (図4)。 海面クロロフィルa濃度変動の統計的性質を計算した結果、日本近海においてはおおむね変動は東西に扁平した構造を持っており、変動の大きいところほど時間スケールが短いことが明らかとなった。 |
成果の活用面・留意点 |
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図表1 | |
図表2 | |
図表3 | |
図表4 | |
カテゴリ | 炭素循環 モニタリング リモートセンシング |