高知県西部海域の大型定置網で漁獲されたマサバから推定される若魚の加入動向

タイトル 高知県西部海域の大型定置網で漁獲されたマサバから推定される若魚の加入動向
担当機関 高知県水産試験場
研究期間 1999~2007
研究担当者 新谷淑生
発行年度 2009
要約 高知県西部の大型定置網で漁獲されるマサバ若魚の入網尾数から加入量水準を求めた。4~6月に尾叉長5~20cmの若魚が出現した。1操業あたりの入網尾数は、2002年までは数十尾以下であったが、2003年からは数百~数千尾に増加した。入網尾数から推定された加入量は近年増加傾向にあるが、太平洋南区のさば類漁獲量が高水準であった1980年代と比べると低く、資源状態は低水準であると考えられた。
背景・ねらい さば類資源の加入量及び加入機構の解明は重要であるが、漁獲対象以前の仔稚魚段階における知見は比較的乏しい。この原因として、定量的・継続的に採集する方法が限られていることが考えられる。
定置網漁業は漁場及び漁獲努力量が概ね一定で、魚種や大きさによる選択性が少なく、その漁獲量は漁場への加入量を反映していると考えられる。筆者は、さば類の加入量や成長及び移動・回遊等の生物特性を明らかにすることを目的に、1999年4月から高知県西部海域の大型定置網等で漁獲されるさば類を採集している。本研究では2007年12月までに採集・測定したマサバと大型定置網でのマサバ漁獲量から加入量の変化を検討した。
成果の内容・特徴 卵巣腔内における残留卵の出現時期や頻度から推定されたマサバの産卵期は1~6月、盛期は3~5月であった(表1)。発生から数ヶ月は経過していると思われる尾叉長5~15cm未満の若魚が以布利大型定置網で漁獲され始めるのは3月からで、盛漁期は4月中旬から5月上旬であった。このことから、高知県西部海域で1~6月に発生した群は同海域の大型定置網で漁獲されることは少なく、その多くは高知県以東海域へ移送されると考えられた。3月から大型定置網で漁獲される若魚は高知県以西海域で高知県海域よりも早い時期に発生した群であることが想定された。
近年のマサバ太平洋系群の加入は2004年・2007年が高く、2005年・2006年は低い水準であったと推定されている。一方、本研究で得られた以布利大型定置網におけるマサバ加入量指数は2004年が低く、2006年・2007年が高水準と推定された。このように、大型定置網の加入量指数は太平洋系群全体の加入量水準を必ずしも反映していない。この要因として、大型定置網の加入量指数は高知県以西海域の加入量を反映したもので、高知県以東海域の加入量は反映していないことが考えられた(表2)。
高知県西部の大型定置網のマサバ漁獲量は冬季から春季に増大し、夏季から秋季に減少した(表3)。漁獲量が増加する時期と産卵期が一致したことから、漁獲対象魚は産卵群であると考えられた。
成果の活用面・留意点 定置網漁獲物による定量的・継続的な採集は、調査船調査等と比べ、簡便なモニタリング手法である。今後、マサバ太平洋系群の資源管理方策を考える場合、この結果は基礎的な情報となる。
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図表2 234263-2.png
図表3 234263-3.png
図表4 234263-4.png
カテゴリ モニタリング

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