タイトル | 千葉県外房海域におけるアワビ類の浮遊幼生、着底稚貝の出現状況 |
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担当機関 | 千葉県水産総合研究センター |
研究期間 | 1999~2010 |
研究担当者 |
小宮朋之 橋本加奈子 柴田輝和 田中種雄 |
発行年度 | 2009 |
要約 | 千葉県外房の2地先において、アワビ浮遊幼生及び着底稚貝の出現時期は10月中旬から2月上旬で、出現ピークは期間中に1~2回もしくは判然としない場合があった。ベリジャー幼生の出現量は、資源量が多かった約20年前には高レベルで出現する場合があったが、近年では低レベルで推移していた。産卵は比較的広範囲で同期している可能性が考えられた。 |
背景・ねらい | 低迷が続いているアワビ資源の回復を図るためには、適切で効果的な資源管理と増殖対策が必要である。そこで、これらの課題解決の基礎として重要であるアワビ資源の再生産機構解明の一環として、浮遊幼生及び着底稚貝の出現状況を明らかにする。 |
成果の内容・特徴 | 1999年~2007年に鴨川市太海地先及び南房総市千倉町川口地先で、アワビ類の浮遊幼生及び着底稚貝の出現状況を調査した。 浮遊幼生及び着底初期稚貝(500μm以下)の出現は、両地先ともに10月中旬から2月上旬のおよそ4ヶ月の範囲内に認められた。ピークの時期は年により異なるが、期間中に1~2回あり、判然としない年も認められた(図1)。 太海地先でのベリジャー幼生の平均出現密度を年級間で比較すると、資源量が激減する以前の1979年には27.8個体/m3と高い密度での出現が観察されることもあったが、2001年以降は0.2~8.5個体/m3と大きな変動もなく推移している(図2)。 着底稚貝の平均出現密度は、川口地先では0.5~10.2個体/㎡、太海地先では2.7~40.8個体/㎡で推移していた(図3)。 川口地先では着底稚貝の明らかな出現ピークが2003年12月8日と2005年11月11日の2回観察されたが、これらの年は太海地先においてもそれぞれ12月5日および11月14日に着底のピークが見られ、調査日のずれを考慮すれば着底盛期は両地区で一致していたと考えられた(図1、表1)。このことから、産卵盛期は地先間で大きく異ならず、比較的広範囲で同期している可能性が考えられた。なお、今回同期が確認された推定産卵日の前後では低気圧の通過や急激な水温の変化が観測されている。 |
成果の活用面・留意点 | アワビ類の資源変動要因の解明及び資源管理手法の開発のための基礎的知見とする。 |
図表1 | ![]() |
図表2 | ![]() |
図表3 | ![]() |
図表4 | ![]() |
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