タイトル |
日向灘におけるゴマサバの資源生態と漁況予測 |
担当機関 |
宮崎県水産試験場 |
研究期間 |
2004~2008 |
研究担当者 |
福田博文
|
発行年度 |
2009 |
要約 |
- 日向灘のゴマサバ漁獲は太平洋系群の資源豊度の高い年級により構成。
- 当歳魚の加入として時期と魚体組成の異なる加入群があり、7月以降の加入群が出現した翌年に1歳魚が大量来遊。
- 1歳魚は夏期中心に索餌群として、2歳魚は上半期に産卵群~索餌群として来遊、前者は沿岸域に広く分布し滞留性あるが、後者は沖合まで分布し滞留性乏しい。
- 移行域以北の加入量指標値より1歳魚の漁況予測が可能。
|
背景・ねらい |
沿岸漁業の重要な資源であるサバ類の漁況予測技術の精度向上と漁場予測技術の確立を図るため、日向灘に来遊するゴマサバの資源生態や漁獲特性を調査し、太平洋系群の資源量指標値との関係を解明する。
|
成果の内容・特徴 |
- 近年、日向灘で漁獲されるゴマサバは、太平洋系群の資源評価において豊度が高いと評価された年級が9割を占め、2000年以降では1歳時に大量来遊する特性がみられる(図1)。当歳魚の加入には、4~7月の尾叉長20cm未満の群と、7月以降の20cm以上の群がみられ、後者が出現した翌年に夏をピークに1歳魚が大量来遊し(図2,3)、冬季に逸散後、2歳魚以上は3,4月を盛期に産卵群として来遊する。
- 夏期を中心に来遊する1歳魚(索餌群)は豊後水道南部~日向灘の広い範囲で漁獲され、陸棚上の100~200m水深域に漁場が形成される。産卵群(2歳魚以上)は豊後水道南部では漁が少なく、日向灘では沖合域まで広く漁場形成する。産卵期以降の2歳魚も含め索餌群は漁獲日数が多く、魚群滞留により漁獲量が伸びるが、産卵群は大きな群れとして来遊しCPUEは高いものの、漁獲日数が少ない。
- 日向灘の年級別漁獲動向は、本邦南岸黒潮内側域の当歳魚を対象とした加入量調査の指標値とはリンクせず、移行域以北の加入量指標値(中央水研、ゴマサバ太平洋系群資源評価)と対応した変動を示す(図4)。また、最近の年級で当歳時より1歳時に大量来遊する傾向も、道東~三陸海域流し網調査(図4下)と一致した。以上のことから、移行域以北に加入した資源から日向灘の1歳時漁況を予測するため、各加入量指標値を標準化し年平均した当歳魚指標値を作成したところ、同値が0を超えると日向灘での1歳魚の大量来遊が予測できると考えられた(図5)。
|
成果の活用面・留意点 |
今後は、加入量指標値の加工方法の検討を行うとともに、海況の影響が強いと考えられる2歳魚以上の漁況予測についての調査解析が必要である。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
図表4 |
 |
図表5 |
 |
カテゴリ |
加工
|