アカアマダイ仔魚飼育に及ぼす24時間照明の効果は夜食にあり

タイトル アカアマダイ仔魚飼育に及ぼす24時間照明の効果は夜食にあり
担当機関 (独)水産総合研究センター
研究期間 2006~2010
研究担当者 升間主計
町田雅春
竹内宏行
渡辺 税
中川 亨
発行年度 2009
要約 アカアマダイの種苗生産技術開発で問題となっている初期の大量死亡を防止することを目的に、これまでに24時間照明の効果を明らかにしたが、その理由については不明なままであった。今回、24時間照明により自然光条件下で飼育した仔魚に比べて、日没後も摂餌が継続することで、初期の減耗を防ぎ、成長が早まることを明らかにした。
背景・ねらい アカアマダイは近年多くの魚種で魚価の低迷が続く中にあって周年にわたって比較的高値を維持し、各地でブランド化が進められるほどの重要魚種である。しかし、全国における本種の漁獲量は1986年の1.1万トンをピ-クに年々減少をたどっており、2002年以降2千トン前後の低水準で推移している。大きな回遊はしないと考えられていることから、新たな栽培漁業対象種として漁業者からの要望が高くなっている。しかし、栽培漁業を進めるために重要な種苗生産技術開発において、各機関とも飼育初期の大量死亡、形態異常の発生およびウイルス性疾病に関する問題に直面しており、これらの問題に対する早急な解決が望まれている。
成果の内容・特徴 これまでにアカアマダイの初期飼育時の生残率の向上に24時間照明が有効であることを明らかにした。今回は効果の理由を明らかにするために試験を実施した。飼育水槽(ポリ水槽500L)上面に18Wランプ1本及び3本を24時間点灯した各区(それぞれ照明1本区、照明3本区)3水槽と自然光条件とした対照区(以下自然光区)2水槽を設け、14日間の飼育を行い、生残と成長を比較した。生残は12日目、成長は14日目の測定値で比較した。各水槽の水温は平均18.9~19.4℃で水槽間に差は認められなかった。日没後の水槽上面での照度は照明1本区で780~950lx、照明3本区で1,500~1,800lx、自然光区で0lxであった。ふ化後12日の生残率は自然光区、照明1本区、照明2本区でそれぞれ平均38、93、84%、14日目の全長では平均3.22、3.43、3.48mmといずれも照明区において高かった(p<0.01)。また、ふ化後3~4日目(開口0~1日目)とふ化後5~6日目の仔魚の摂餌状況を調べたところ、自然光区では日没後から摂餌が認められなくなった。一方、両照明区ではふ化後3日目で21:00、ふ化後5日目で0:00まで摂餌が認められた(図1)。照明1本区と3本区の間には成長、生残及びワムシの摂餌状況に差が認められなかった。以上の試験結果から、24時間照明下での飼育は、ワムシを摂餌できる時間を延長し、1日のワムシ総摂餌数(日摂餌量)が増加することで、仔魚の成長、生残が高められたものと推察される。本種の初期の生残・成長の向上に夜間の照明が有効な飼育方法である理由が明らかとなった。
成果の活用面・留意点 本種の栽培漁業技術開発を進める上において最も重要である種苗生産技術に活用できる。
初期飼育時の仔魚の摂餌を高めることで生残・成長を向上させることが示唆された。
図表1 234275-1.png
カテゴリ 光条件

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