タイトル |
スルメイカの対光行動とイカ釣り漁業の集魚機構 |
担当機関 |
石川県水産総合センター |
研究期間 |
2008~2008 |
研究担当者 |
四方崇文
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発行年度 |
2009 |
要約 |
スルメイカを対象として、メタルハライド船上灯と発光ダイオード水中灯を用いた試験操業を行った。その結果、強い光はスルメイカに対して威嚇刺激となり、スルメイカを効率的に漁獲するうえで船下の低照度域が極めて重要であることが実証された。船上灯光により形成された海中の明暗環境にはスルメイカを威嚇・駆集する作用があり、これらの作用がスルメイカを船下に誘導するうえで重要と考えられた。
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背景・ねらい |
イカ釣り漁業の省エネルギー化技術として、発光ダイオード(LED)漁灯が注目されており、その実用化研究が積極的に進められている。現在のLED船上灯については、発光量はメタルハライド(MH)船上灯に匹敵する水準にまで達しているものの、漁獲性能はMH船上灯よりも低い水準に留まっており、配光の適正化などの技術改善が必要になっている。しかし、技術改善の指針となるスルメイカの対光行動特性や集魚機構は十分に解明されていない。そこで、イカ釣り操業における灯光の作用を明らかにするため、MH船上灯とLED水中灯を用いた試験操業を行った。
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成果の内容・特徴 |
- 船上灯点灯時には、船体周囲の海面下に高照度域、船下に低照度域がそれぞれ形成される。調査船白山丸(167トン)のMH船上灯によるイカ釣り操業時に、スルメイカが高密度に集群した段階で船下に垂下したLED水中灯を点灯・消灯し、低照度域を消失・出現させる実験を行った(図1)。
- 水中灯を大光量で点灯すると、直ちにスルメイカが船下から逃避する様子が魚群探知機とソナーにより観察され、漁獲成績も大きく低下することが分かった(図2・3)。次に水中灯を消灯すると、それまで水中灯より深い水深に分散していたスルメイカが船下の低照度域に浮上・集群し、漁獲成績も回復することが確認された。
- 本試験により、強い光はスルメイカに対して威嚇刺激として作用すること、イカ釣り漁業において船下の低照度域が極めて重要であることが実証された。これらの事実から、船上灯光によって形成された海中の明暗環境にはスルメイカを威嚇・駆集する作用があり、これらの作用が船下の釣獲しやすい位置にスルメイカを誘導するうえで重要と考えられた。
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成果の活用面・留意点 |
イカ釣り漁業の集魚機構の一端を実証することができた。スルメイカの対光行動や集魚機構に関する研究を推進し、それらの知見を応用することで漁獲性能の高いLED漁灯の開発が可能になると考えられる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
省エネ・低コスト化
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