ズワイガニの稚ガニ量産を実証,生産数3万尾を突破

タイトル ズワイガニの稚ガニ量産を実証,生産数3万尾を突破
担当機関 (独)水産総合研究センター
研究期間 2006~2010
研究担当者 山本岳男
藤本 宏
山田達哉
高橋庸一
発行年度 2009
要約 ズワイガニ稚ガニの安定的な量産技術の開発を目的とし、2008年度に解明したメガロパの生残に適した飼育水温の効果を量産規模で実証した。その結果、稚ガニの総生産数は昨年度の1.8万尾を上回る約3万尾となり、量産飼育の再現に成功した。
背景・ねらい 小浜栽培漁業センターでは、1984年からズワイガニの種苗生産技術の開発に取り組み、2005年までにゾエア期の飼育技術として水温や餌料系列等の基礎的な飼育条件、幼生の強制浮游手法、細菌感染症の防除対策、および主餌料であるワムシの栄養強化の重要性を明らかにした。これらの成果により、メガロパの生産数は毎年数万尾単位で安定した。さらに、2006年からはメガロパ期の飼育条件の解明を進めた結果、生残向上に最も効果が認められる飼育水温の条件を明らかにし、初めて1万尾以上の稚ガニを生産した。本年度は、飼育水温の効果を実証規模で検証し稚ガニ量産の再現に取り組んだ。
成果の内容・特徴 ゾエア期の飼育試験で得られた約9万尾のメガロパを供試した。飼育には3~6kL水槽8面を用い、飼育水は水温約10℃の冷却海水を1回転/日で注水した。餌料にはズワイガニのふ化ゾエアと栄養強化したアルテミアを与えた。その結果、稚ガニの出現率は35%(17~51%)となり、出現数は昨年度の1.8万尾を上回る3.0万尾となった(写真1)。また、基礎試験での生産尾数を含めると、稚ガニの総生産数は過去最多の32,068尾となった(図1)。2年続けて1万尾以上の生産ができたことで、これまでに開発されたズワイガニの種苗生産技術の確実性が実証された。
成果の活用面・留意点
  • 生産した稚ガニの長期飼育により、天然での稚ガニの成長等の解明に寄与できる。
  • 稚ガニの放流試験により、天然での分布、移動、分散等の生態解明に寄与できる。
図表1 234282-1.png
図表2 234282-2.png
図表3 234282-3.png
カテゴリ 病害虫 飼育技術 防除

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