日本海西部におけるズワイガニ属幼生の分布

タイトル 日本海西部におけるズワイガニ属幼生の分布
担当機関 (独)水産総合研究センター 日本海区水産研究所
研究期間 2004~2008
研究担当者 加藤 修
白井 滋
木下貴裕
広瀬太郎
山田東也
渡邊達郎
発行年度 2009
要約 2005~2007年冬季に山陰・北陸沖において、調査船調査でズワイガニ属幼生を採集するとともに各種海洋観測を行った.得られたサンプルはDNA分析により、種判別を行った。その結果、ズワイガニ及びベニズワイ幼生の分布特性に関して知見を得るとともに、ズワイガニ属幼生の輸送・分布に対馬暖流沖合分枝が大きな影響を及ぼしていることが明らかとなった。
背景・ねらい ズワイガニはふ化した後、約3ヶ月の長い浮遊期間を有すると考えられているため、浮遊期間中の流れの変動がズワイガニの資源変動に大きな役割を演じていることが想定されるものの憶測の域をでない。また、浮遊期間中、ゾエア1期→ゾエア2期→メガロパと脱皮するに従い分布層が深くなると言われているが、調査例が乏しくその詳細については不明な点が多い。そこで、ズワイガニ幼生の分布特性を把握し、ズワイガニの資源変動と海洋環境(特に流れ)との関係を解明する目的で本研究を実施した。
成果の内容・特徴
  • ズワイガニ属幼生を採集するため、2005年2月、2006年3月、2007年3月にモクネスもしくはボンゴネットによりプランクトンを採集し(図1)、エタノール固定した後、研究室でDNA分析による種判別を行った。海流分布を把握するため、ADCP測流とともに漂流ブイを投入した。
  • 2006・2007年の調査では、ズワイガニ属幼生が100尾以上採集された(表1)。2005年についてはゾエア1期幼生が12尾のみ採集された(DNA分析は未実施)。
  • ベニズワイはズワイガニに比べ沖合側に分布する傾向が強いが、200m以浅の海域にも出現した(図2・3)。採集された幼生については、両種とも50m以浅にほとんどが分布した。調査年による採集量及びゾエア2期幼生の比率の違いから、幼生の発生時期及び出現量が年により大きく異なると考えられた。
  • 対馬暖流沖合分枝は2006年には隠岐北方から反転・南下して沿岸を流れていたのに対し、2007年には隠岐北方からそのまま北東向きに流れ、能登西方で南下した。両種の幼生は、基本的には対馬暖流沖合分枝によって東方に輸送されると考えられた。
成果の活用面・留意点 これまでの研究から、ゾエア1期→ゾエア2期→メガロパと発育段階が進むにつれて鉛直分布深度が大きく変化すると言われている。本研究では主としてゾエア1期幼生が採集されたため、鉛直分布深度の変化までは把握できなかった。日本海では海流分布が鉛直的に大きく変化することが報告されており、メガロパが主として分布する100m以深では海面付近とは逆向きの流れ(西流)が観測されることが多い。このため、ズワイガニ属幼生の輸送・分布変動を明らかにするためには、幼生の鉛直分布に関するさらなる知見の収集が不可欠である。
図表1 234287-1.png
図表2 234287-2.png
図表3 234287-3.png
図表4 234287-4.png
カテゴリ 輸送

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