築堤式大型池を用いたガザミの中間育成

タイトル 築堤式大型池を用いたガザミの中間育成
担当機関 香川県水産試験場
研究期間 2008~2010
研究担当者 山本昌幸
龍満直起
発行年度 2009
要約 築堤式大型池に甲幅5mmのガザミ(以下サイズは甲幅)50万尾を収容して25日間中間育成し、30mmサイズの種苗9.8万尾(生残率19.8%)の取上げと放流に成功した。
背景・ねらい 本県では重要な漁獲対象種として、ガザミの種苗放流を昭和57年以降行っているが、その多くは5mm程度の小型種苗であり、漁業関係者から漁獲量の向上と安定のため、放流種苗の大型化が望まれていた。このため、築堤式大型池を使用し、放流サイズの大型化と生残率向上を図るための研究を行った。なお、目標は5mm種苗50万尾を収容し、30mmサイズで取上げ尾数5万尾(生残率10%)とした。
成果の内容・特徴 方法:水産総合研究センター玉野栽培漁業センターで生産された1齢期ガザミ種苗(4.9mm)50万尾をクルマエビ等の中間育成に使用している5,000㎡(70×70×1.5m;底質:砂)の築堤式大型池に収容(収容密度100尾/㎡)した。収容2日前からの5日間はアルテミア卵を池に直接入れ、収容日からは潜水観察により残餌状況をみながらクルマエビ用配合飼料(2回/日)を給餌した。飼育水は、アルテミア給餌期は餌の流出防止のため止水とし、それ以降は池内の珪藻を維持するように換水した。育成尾数の推定はコドラート法により行い、取上げはカゴによる取上げと池の水位を落として水門部へ集めて取上げる2つの方法を試みた。なお、中間育成は財団法人香川県水産振興基金へ委託し、同栽培種苗センターが飼育管理した。
結果:中間育成は、平成20年6月30日から7月25日までの25日間行った。平均37.1mm(29~47mm、図1)、平均体重3.12g(1.4~6.0g)の6~7齢期のガザミ9.84万尾を取上げ、生残率は19.7%であった(表1)。アルテミア卵(425g缶)は、1日当たり11~12缶、計59缶を与え、配合飼料は1日当たり2~36kg計377kgを給餌した。収容6日後に11mm(3齢期)、18日後に22mm(5齢期)、25日後には37mm(6~7齢期)に成長した(表2)。換水率は0~82%で、水温は24~28℃、底質は予想より汚れなかった。22日目から行ったカゴを用いた取上げでは、3日間で全体の16%程度しか取上げることができず、25日目に行った水位を下げて水門部に集める方法では、干出した場所にガザミが留まることなく水位の低下に伴って水門に集まってきたことから、脱皮直後の個体を除くほとんどの個体を取上げることができた。
成果の活用面・留意点 1齢期種苗から3週間程度の短期間かつ高い生残率で大型種苗の育成・供給の可能性が示唆された。潜水観察では、5齢期の出現以降、個体数の急激な減少が観察されたため、取上げサイズの検討が必要。また、事業化に向け、餌料系列の見直しによる経費の削減や育成尾数の推定法についても検討が必要。
図表1 234293-1.jpg
図表2 234293-2.jpg
図表3 234293-3.jpg
図表4 234293-4.jpg
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