タイトル |
底網目合拡大で小型底びき網のカレイ類幼魚混獲を軽減 |
担当機関 |
山口県水産研究センター |
研究期間 |
2008~2008 |
研究担当者 |
内田喜隆
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発行年度 |
2009 |
要約 |
小型底びき網底網前部の目合を10節(約32mm)から7節(約50mm)に拡大することで、メイタガレイ幼魚の混獲を3-4割減少させるが、総水揚げ重量には影響を与えない実用的な混獲軽減漁具を開発することができた。
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背景・ねらい |
周防灘の小型底びき網は小型エビ類など多種類の生物を漁獲する必要性から網目が細かく、カレイ類幼魚を大量に混獲・投棄しており、資源管理上の問題となっている。そこで、カレイ類幼魚の混獲を防止しつつ、現状と同程度の水揚を実現する底びき漁具を開発し、カレイ類の資源回復と漁業経営の改善に資する。
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成果の内容・特徴 |
- 山口県周防灘で一般に用いられている小型底びき網(ビームトロール)底網前部の目合を10節から7節に拡大した2種類の試験漁具(漁具1:拡大部の長さ3.2m、漁具2:同1.5m)を用い、調査日ごとに漁具(試験漁具・通常漁具)と漁船(H丸・S丸)の組み合わせを入れ替えた同時並行操業試験を行った(図1)。
- 漁獲結果には漁具以外の要因の影響も含まれるため、一般化線型モデルによって漁具の違いによる効果だけを抽出した(図2、表1)。
- 上記解析の結果、メイタガレイ幼魚(全長15cm未満)混獲個体数は通常漁具に比べて試験漁具1で42%、試験漁具2で33%減少し(図3)、全長7-9cm以下の個体が拡大目合から抜けたと推定された(図4)。
- 主要対象種である小型エビ類水揚げ重量および総水揚げ重量は試験漁具の影響を受けないと推定された(表1)。
- ヒトデ・ウニ類以外の投棄対象種混獲重量は試験漁具1で30%、試験漁具2で41%減少すると推定された(表1)。
- 試験漁具は通常漁具の底網目合を拡大しただけであるので、漁具の使い勝手は通常漁具と変わらないと考えられた。
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成果の活用面・留意点 |
- 山口県瀬戸内海区の小型機船底びき網漁業では、遊泳魚への漁獲圧を抑えるため、身網目合が10節より粗い漁具の使用は禁じられている。本漁具の実用化のためには漁業許可条件の変更が必要となるため、漁業者との合意形成を進めている。
- 当海域では周防灘小型機船底びき網対象種資源回復計画が取り組まれており、本漁具を導入することで資源回復の取り組みが更に進むことが期待される。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
経営管理
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