赤外カラー空中写真と基盤整備前の地形図を用いた浅礫層分布域の推定手法

タイトル 赤外カラー空中写真と基盤整備前の地形図を用いた浅礫層分布域の推定手法
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 中央農業総合研究センター
研究期間 2006~2010
研究担当者 渕山律子
太田 健
福原道一
発行年度 2010
要約 水田転換畑を対象にダイズ成熟始期の赤外カラー空中写真から生育不良区域を抽出する。生育不良区域と基盤整備前の地形図で畑の区域を重ね合わせることで、ダイズ生育阻害要因の一つとなっている作土直下に出現する礫層の分布域を推定できる。
キーワード 赤外カラー空中写真、地形図、浅礫層、基盤整備、転換畑
背景・ねらい 茨城県筑西市の水田地帯には、作土直下に礫層(浅礫層)が分布し、肥沃度や保水力が低いため作物生育が不良となっている。浅礫層の分布域の情報は土壌管理に有用であるが、分布域の特定は容易ではない。そこで、浅礫層の分布域を赤外カラー空中写真と基盤整備前の地形図を利用して推定する手法を開発する。
成果の内容・特徴
  1. 茨城県筑西市の水田転換畑を対象に浅礫層分布域を推定するため、ダイズ成熟始期の赤外カラー空中写真(縮尺1:15,000、1画素解像度:30×30 cm)を用いて、画素ごとに植生指数(NDVI)を算出する(図1:手順1)。播種日の違いにより生育ステージが異なるため、圃場内の生育良否を評価する指標としてNDVIを正規化し、圃場内変動値(CV)を算出する(図1:手順2)。各圃場のNDVI平均値にあたるCV=1をしきい値とし、CV≧1を生育良好、CV<1を生育不良として、圃場内の生育良・不良区域を図示する(図2)。
  2. 対象地域には、基盤整備前は厚さ2mほどの礫層をもつ微高地が点在しており、畑利用されていたと考えられるが、基盤整備後は平坦化されて消失している。浅礫層の分布は、ダイズ生育および基盤整備前の地形図(1915年、国土地理院)の畑区域(旧畑)と関連すると考え土壌断面調査を行うと、CV≧1で旧水田のa、b地点では浅礫層は出現せず、CV<1で旧畑のc~e地点では浅礫層が出現する(図2)。他の10圃場における調査でも同様に、CV≧1で旧水田の地点では浅礫層は出現せず、CV<1で旧畑の地点では浅礫層が出現する。そこで、CV<1と旧畑が重なる区域を浅礫層分布域と推定する(図1:手順3)
  3. 対象地域では3年4作ブロックローテーションが実施されているが、2005~2007年の同時期に撮影した写真を用いれば、対象地域全体の浅礫層分布図を作成できる(図3)。対象とした320haのうちCV<1は124ha、旧畑は42ha、推定される浅礫層分布域は19haである。
成果の活用面・留意点
  1. 下層土の土壌特性を、現在の作物の生育状況と古い地形図などの既存情報を利用し、効率的に把握する手法である。
  2. 浅礫層が分布する圃場では、とくに畑作時の養分・水分管理に注意する必要がある。
  3. 基盤整備前は水田(旧水田)であったが、浅礫層が出現する圃場については、現地調査等によりデータを追加する必要がある。
図表1 234395-1.png
図表2 234395-2.png
図表3 234395-3.png
カテゴリ 肥料 カラー 水田 大豆 播種

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