モモの自発休眠覚醒に関する感温特性

タイトル モモの自発休眠覚醒に関する感温特性
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所
研究期間 1991~2010
研究担当者 杉浦俊彦
阪本大輔
朝倉利員
杉浦裕義
発行年度 2010
要約 モモ花芽における自発休眠覚醒効果は6℃が最も有効であり、それより高温でも低温でも有効性は低下する。3℃での有効性は6℃の約90%、0℃では約70%、-3℃では約50%、-6℃は無効である。また、9℃では6℃の約90%、12℃は約60%、15℃は無効である。
キーワード 加温栽培、休眠打破、チルユニット、低温要求量、発育速度モデル
背景・ねらい モモの加温施設栽培では、温暖化の進行により、自発休眠期の低温不足による開花不良(図1)が発生する恐れがあるため、自発休眠覚醒を精度よく推定する技術のニーズが高まっている。モモについては、自発休眠覚醒推定法としてチルユニット(Richardsonら、1974、HortScience)がよく知られているが、その対象は、わが国ではなじみのない品種である。そこで、わが国のモモの加温施設栽培で一般的に使用されている成熟期の早い白鳳系の品種において、自発休眠覚醒効果の温度間差を定量的に明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. モモ 「大玉白鳳」において、最も短時間で自発休眠覚醒に至り、自発休眠覚醒効果が高い温度は6ºCである(図2)。これは、4~7年生樹を169樹供試し、-6℃~15℃の低温処理を行い、その後25℃で加温して自発休眠覚醒状況を調査した結果である。
  2. 6℃より温度が低下するに従って自発休眠覚醒効果は低下する。自発休眠覚醒までに必要な時間から自発休眠覚醒に対する相対的な有効性を求めると、6℃の有効性を1とした場合、3℃では約0.9、0℃では約0.7、-3℃でも0.5程度の有効性が認められるが、-6℃では有効性は認められない。
  3. 6℃より高くなっても有効性が低下し、9℃では約0.9、12℃では約0.6、15℃では有効性はない。
  4. チルユニットの係数と比べて6℃付近を除き高めに評価されている傾向にあるが、これは品種の相違に加えて本研究では温度の刻みをRichardson ら(1974)より詳細に検討しているためである(図3)。
成果の活用面・留意点
  1. モモの自発休眠覚醒推定あるいは開花予測のための発育速度モデルやチルユニット開発に活用できる。
  2. この結果は自発休眠覚醒に対する有効性の温度間差を明らかにすることを目的としているため25℃で加温して20日後に20%以上の開花を自発休眠覚醒の基準としている。実際に施設生産に利用するためには、より開花率が高くなるために要する時間を品種ごとに明らかにする必要がある。
図表1 234444-1.png
図表2 234444-2.png
図表3 234444-3.png
カテゴリ 施設栽培 品種 もも

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