セメント製造燃料にするための豚ふんの固液分離処理および発酵乾燥処理

タイトル セメント製造燃料にするための豚ふんの固液分離処理および発酵乾燥処理
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2008~2010
研究担当者 阿部佳之
小島陽一郎
澤村 篤
発行年度 2010
要約 セメント製造工場で家畜ふんを燃料利用するためには、家畜ふんの塩素濃度と含水率が低いことが重要である。このような条件を満たすためには、豚ふんを固液分離機で前処理したうえで、密閉縦型堆肥化装置で発酵乾燥する処理方法が有効である。
キーワード 豚ふん、堆肥、燃料化、セメント製造、塩素濃度
背景・ねらい セメント製造工場では、熱源として石炭などの化石燃料を多量に用いるが、化石燃料の価格は上昇傾向にあり、また、化石燃料の消費に伴う二酸化炭素の排出抑制は企業にとって社会的な責務となっている。そのため、化石燃料の代替として木屑などのバイオマス利用が進められているものの、最近は量的に、あるいは燃料価値に見合った価格での入手が難しくなり、新たなバイオマス燃料の利用が求められている。
一方、家畜ふんは、他のバイオマスと比べても十分な賦存量が見込まれ、さらには、木屑に遜色のない発熱量を有することが知られている。また、家畜ふんをセメントの焼成工程で燃料利用できれば、燃焼後に発生する灰分をそのままセメント成分として出荷できるメリットも得られる。しかし、家畜ふんは含水率が高く悪臭を発するうえ、セメントの品質を低下させる塩素が高濃度で含まれていることから、これまで燃料として利用される場面は限られてきた。そこで、これらの課題を整理したうえで、家畜ふんをセメント製造用の燃料にするための処理方法を検討する。
成果の内容・特徴
  1. セメント製造用の燃料としての明確な基準はないが、セメント工場での利用が可能とされる含水率30%以下、塩素濃度3,000mg/kg乾物以下、発熱量15MJ/kg乾物以上を目安にすると、各畜種のふん尿成分の調査事例からは、含水率と塩素濃度はすべての事例で目安を超過する。家畜ふんの燃料化に際しては、固液分離機による脱塩工程や低コストな乾燥工程が必要である(表1)。
  2. 固液分離機を経た豚ふんの固分は粗ゴミ、脱水ケーキ、余剰汚泥脱水ケーキなどであり、これらは通常堆肥化される。余剰汚泥脱水ケーキを除く固分の塩素濃度は固液分離によって720~1,500mg/kg乾物まで低減され、燃料化に向けた目安を満たす。固液分離機は浄化処理施設を併設する養豚場に多く設置されていることから、豚ふん固分の含水率を低減できれば、豚ふんはセメント製造用の燃料として有望である(表2)。
  3. 養豚場の浄化処理施設で発生する固分を密閉縦型堆肥化装置で堆肥化するケースでは、固分の投入割合や季節によって変動があるものの、発酵乾燥が促進されて固分の含水率は30%程度にまで低下する。この豚ふん堆肥は、塩素濃度や発熱量についても燃料としての目安を満たす(図1)。
成果の活用面・留意点
  1. 家畜の飼養密度が高く、豚ふん堆肥の肥料利用が困難な地域で有効な方法である。
  2. 図1は東北地域にある養豚場の既存施設で2年間調査した結果である。鶏ふんや牛ふん尿についての本方法の適応性は不明である。
図表1 234516-1.png
図表2 234516-2.png
図表3 234516-3.png
カテゴリ 肥料 乾燥 出荷調整 低コスト

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