ペレニアルライグラス主体放牧草の栄養成分および蛋白質利用特性の季節変化

タイトル ペレニアルライグラス主体放牧草の栄養成分および蛋白質利用特性の季節変化
担当機関 (独)農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所
研究期間 2008~2010
研究担当者 中野美和
栂村恭子
的場和弘
発行年度 2010
要約 ペレニアルライグラス主体混播放牧草の乾物消化率およびTDN含量は春に高く夏にやや低下するが、従来飼料設計に用いられている生育期別生草の値より高く季節変化も小さい。一方CP含量の増加に伴いCP摂取量が増加しても体への蓄積量は2割程度である。
キーワード ペレニアルライグラス、放牧草、可消化養分総量、蛋白質利用特性、栄養管理
背景・ねらい 府県における搾乳牛放牧では、牛の養分要求量を放牧草のみで満たすことは難しい一方で、放牧草には粗蛋白質(CP)が多く含まれるため、CP摂取が過剰となる。そのため、放牧草養分量の不足分を満たすとともに、CPの利用効率を高めるために、補助飼料の適正な給与方法を明らかにする必要がある。季節に応じた補助飼料給与量の設計のためには、まず放牧草の栄養価やその利用特性を明らかにする必要がある。そこで、集約放牧で用いられる主要牧草であるペレニアルライグラス主体混播放牧地における放牧草の可消化養分総量(TDN)をはじめとする栄養価、およびCPの利用特性の季節変化を明らかにする。
成果の内容・特徴
  1. 放牧期間中に、北関東地域におけるペレニアルライグラス主体シロクローバ混播放牧草地の一部から、放牧牛の採食部位を想定して葉部割合が高くなるよう地上約15cmより刈り取る。これを「放牧草」として化学成分およびTDN含量を測定する。さらに、4、7、10月の放牧草については、ルーメンにおける蛋白質分解特性および窒素出納を測定する。
  2. 放牧草のCP含量は季節の進行に伴い25.5%DMまで増加し、これに伴い溶解性蛋白質(CPs)含量の摂取量も増加する。中性デタージェント繊維(NDF)および酸性デタージェント繊維(ADF)含量はそれぞれ36.1-50.4%DMおよび23.1-30.5%DMの範囲で推移し、ともに6-8月に高い値を示す(表1)。
  3. 放牧草の乾物(DM)消化率は73.4-81.6%の範囲で推移し、4-6月に高く7-8月に低下する。CP消化率は季節を通して80%程度で大きな変化はなく、NDF消化率は季節の進行に伴い低下する。TDN含量は4-5月に高く、7月に低下し、9-10月にやや回復する。TDN/CPは2.9-4.1の低い値の範囲で推移し、CPに対しTDNの不足が示唆される(表2)。
  4. 放牧草中CPは季節の違いに関わらずルーメン内で急速に分解され、24時間後に90%以上分解される(図1)。
  5. 放牧草より摂取した窒素のうち、体へ蓄積される割合はおよそ2割であり、約6割が尿中へ、2割が糞中へ排出される。また放牧草中のCP含量の増加に伴い窒素摂取量は増加するものの、体への蓄積量はわずかに増えるのみである(図2)。
成果の活用面・留意点
  1. 本成果は放牧牛の採食草を反映した牧草の成分含量および消化率の実測値として日本標準飼料成分表(2009年版)別表(2a)に掲載されており、放牧牛の補助飼料設計に活用できる。
  2. 実際の放牧においては、草地の状態や牛の選択的採食、放牧時間により変動することが予想される。
図表1 234520-1.png
図表2 234520-2.png
図表3 234520-3.png
図表4 234520-4.png
カテゴリ 飼料設計 乳牛

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